テレワークを支えるWeb会議サービス

外出自粛要請やロックダウンの解除によって経済活動は徐々に以前の状態に戻りつつあるが、今回の経験を教訓として、業務形態を職場勤務から在宅勤務へシフト、または職場勤務と在宅勤務を混在させる形態へシフトさせる動きも出てきている。その背景には、新型コロナウイルスとの付き合いが長期にわたることが予測されることや、テレワークの実施が思いの外スムーズに進んだことなどがある。教育機関においても、今後、新型コロナウイルスの第2波、第3波の到来に備えて、リモート授業の準備や拡充に取り掛からなければならない状況にある。

在宅勤務には、出社退社にかける時間を省略できるという利点がある。その分を生活に振り分けることができるほか、現在は新型コロナウイルス感染リスクの低減にもつながる。働き方改革を考えれば、遅かれ早かれ、いずれかのタイミングでテレワークは推進する必要のあることだった。新型コロナウイルスが大きなきっかけになったことは間違いないが、今後は働き方改革も意識して、業務形態の改善が進められることになる。

在宅勤務の推進には、事務所の賃貸費用や諸経費・交通費などの削減という利点もある。これまで職場勤務が必須だと考えられていた業務も、コロナ禍を通じて在宅勤務で遂行できることがわかった企業は少なくない。そうした企業では、在宅勤務を推進することで諸経費を削減できる。交通費の代わりに、通信費用手当や在宅勤務手当といった経費が発生することになるだろうが、トータルでは削減に働く可能性が高い。売上を確保する上でも、在宅勤務は魅力的なカードというわけだ。

テレワークでは、メッセージングツールやWeb会議が重要な役割を果たす。テレワークの成功は通信技術やコミュニケーション技術に依存しており、コミュニケーションがスムーズにできるかどうかは重要だ。こうしたコミュニケーションを実現するサービスはいくつもあるが、主要なサービスを挙げると次のようになる。

ベンダ サービス
Cisco Webex Meetings
Facebook Messenger Rooms
Google Google Meet
Microsoft Microsoft Teams
Zoom Video Communications Zoom

Microsoftは、同社のクラウドサービスをすべてMicrosoft 365へ集約しようとしている。このため、コミュニケーションツールとしてはMicrosoft Teamsが注目されがちだが、実際には古くからある「Skype」にも多くのユーザーがいる。そこで、本稿では、Web会議サービスとしてのSkypeに焦点を当てる。

Skypeの特徴とは?

新型コロナウイルスの発生が10年前だったなら、Web会議の主役はSkypeにだっただろうと言われることが多い。SkypeはWeb会議システムとしては歴史が長く、既存のユーザーも多い。Skypeは現在、Microsoftが所有しており、Microsoftアカウントがあれば使用できる。

Skypeにはビジネス向けの有償サービスがあるが、MicrosoftはこうしたサービスをすべてMicrosoft 365へ集約しようとしており、ビジネス向けとしては「Microsoft Teams」がその役割を担っていく形だ。Skypeは既存のユーザーに対してサービスを継続するといった形になりつつある。

本稿執筆時点でSkypeが提供するサービスのうち、Web会議に関する主な機能は次のとおり(「Skype Fair Usage Policy - Skype」の内容に準拠)。

プラン Skype
価格 無償
参加上限 3名〜50名(デバイスやシステム要件に依存する)
1回の会議長さ制限 ビデオ通話ごとに最長4時間(1日最長10時間、1ヶ月あたり100時間)。制限に達するとビデオ機能はオフになり、通信は音声通話のみとなる。
会議数 制限なし
Webブラウザからの参加 ×
外部参加者の招待 ×
モバイルアプリ
スクリーンとプレゼン共有
会議の録画
Skype翻訳
ファイルの送信 最大300MBまで共有可能

Skypeはアプリケーションを使うタイプのWeb会議システムで、他のサービスと比較して1会議当たりの時間が長いといった特徴がある(ただし、1会議当たりの時間はどのサービスも拡張を続けており、あまり差がなくなってきている)。

  • Skype for macOS

    Skype for macOS

  • Skype for iPhone

    Skype for iPhone

SkypeアプリケーションやSkypeアプリはビデオ会議用のアプリケーションとして扱いやすく、使っていて特に困ることはないと思う。これまでSkypeを使ってきたユーザーにとってみれば慣れたものだ。