ルネサス エレクトロニクスは6月9日、独自技術であるビジョン向けAIアクセラレータ「DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)-AI」を内蔵したマイクロプロセッサ(MPU)「RZ/Vシリーズ」を発表した。

DRP-AIは、同社が2018年に製品化した画像処理能力を10倍に向上させた「RZ/A2M」に搭載されていたDRPを強化したハードウェアIP。演算処理能力を強化するため、DRPに積和演算回路AI-MACを組み合わせ、AI推論用に最適化することで、従来のDRPによる処理に比べ、約10倍の電力効率となる1TOPS/WクラスでのAI処理が可能となったという。

またDRPは、1クロックごとに演算回路の構成を動的に変更できるという特長から、DRP-AIもまた、進化を続ける新たなAIのアルゴリズムにも柔軟に対応できるほか、DRP-AIを使用するために、ユーザの学習済みAIモデルを組込機器へ容易に実装する専用ツール「DRP-AIトランスレータ」なども提供される予定だという。

第一弾として提供されるのは、4W(Typ.)駆動ながら、組込機器でのリアルタイムなAI推論を実現する「RZ/V2M」で、CPUに1GHz駆動のArm Cortex-A53を2個採用しているほか、DRP-AI、4K/30fps対応のイメージシグナルプロセッサ(ISP)、顔検出などの画像処理エンジン、H.265/H.264 エンコーダ/デコーダなども内蔵している。またインタフェースとしては、2カメラ同時入力可能なCMOSセンサインタフェース(SLVS-EC、MIPI-CSI)、高速インタフェース(USB3.1、PCI-Express、Gigabit-Ethernet)、表示インタフェース(MIPI-DSI、HDMI)などに対応している。

なお、同製品はすでに一部の顧客向けにサンプル出荷を行っているとのことで、2020年12月に量産が開始される予定だという。

  • RZ/V2M

    ビジョン向けAIアクセラレータ内蔵MPU「RZ/V2M」のパッケージイメージ