イーライリリーは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向け抗体治療薬「LY-CoV555」の臨床試験を開始したことを発表した。
同治験薬は新型コロナウイルス感染症の予防および治療を目的とした抗体治療薬の開発を目指したイーライリリーとAbCelleraとの提携の中で得られた最初の治療薬候補で、新型コロナから回復した米国の患者から採取した血液検体から米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のワクチン・リサーチ・センターとAbCelleraが発見した抗体を活用してイーライリリーが開発したものだという。
同試験の最初の被験者は、NYU Grossman School of MedicineやCedars-Sinai in Los Angelesといった米国の主要医療機関でLY-CoV555の投与を受けたとのことで、同社ではこのヒトを対象とした最初の試験の結果を検証後、試験対象を広げた有効性試験を開始する予定だとしており、具体的には、同抗体が安全に投与可能であることが示された場合、次のステップとして、入院していない新型コロナウイルス感染症患者を対象としたLY-CoV555の検討をする段階に移る予定だとするほか、病歴から考えてワクチン接種が望ましくない高リスク患者群に注目し、予防目的の治験の計画も進めていくとしている。
また、安全性および有効性の検討と並行して、この可能性のある治療薬の大規模な製造も開始するとしており、2020年末までに数十万規模の投与を可能とする体制整備を目指すとしている。
なお、同社ではこうした抗体治療薬は、新型コロナウイルス感染症に対する予防、治療の双方を期待でき、高齢者や免疫が低下した患者など、この疾患の影響が大きい集団に対し、特に重要であると考えられるとコメントしている。