ICT総研は6月8日、クラウドストレージサービスの市場動向に関する調査結果を発表した。同調査は、クラウドストレージサービス運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4,408人へのWebアンケート調査(期間:2020年5月8日~13日)、各種公開資料などをまとめて分析したもの。

クラウドストレージサービス利用者は2022年度に5,561万人、市場規模は857億円へ拡大

  • クラウドストレージサービスの市場規模

同調査によると、コンシューマーがパソコンやスマートフォンに保存する写真、動画、音楽などのデータ容量は増加傾向にあり、これらの保存に適したクラウドストレージサービスの市場が拡大を続けている。2018年度(2019年3月末)に4,684万人だった日本国内の個人向けクラウドストレージサービス利用者は、2019年度に4,962万人となり、2022年度には5,561万人へと増えると同社は推計している。このうち有料サービスの利用者数は、2019年度で1,391万人に達し、2022年度に1,601万人へと増加するという。

さらに、有料サービスの利用者が増加することで、個人向けクラウドストレージサービスの市場規模は2019年度で776億円、2022年度には857億円に拡大する見込みであるとのこと。

Google ドライブが利用者数トップ、iCloud drive、Dropbox、Microsoft OneDriveが続く

  • 現在利用しているクラウドストレージサービス

次に、クラウドストレージサービスの利用実態を把握するための調査では、クラウドストレージサービスの中で最も利用者数が多かったのは、Google ドライブで1,000人、次いでiCloud drive(アップル)が846人、3位はDropboxで572人、Microsoft OneDriveが4位で560人という結果が得られた。同社の前回(2018年9月)の調査ではiCloud driveがトップだったが、今回はGoogleドライブが1位に躍進した。Androidスマートフォンを利用するユーザーが増えたこともその一因であると考えられる。

この他、Evernoteが5位で247人、Amazon Driveが179人という回答結果となり、多くのユーザーは複数のサービスを併用して使い分けているが、今後はサービスの取捨選択が進み、大手事業者のシェアがさらに高まるだろう。

顧客満足度1位はGoogle ドライブ、2位はDropbox、3位にiCloud drive

  • クラウドストレージ利用者の顧客満足度

クラウドストレージサービスの顧客満足度アンケートでは、Google ドライブが最も満足度ポイントが高く75.1ポイントを記録。続いてDropboxが72.0ポイントで2位、iCloud driveが70.8ポイントで3位、Microsoft OneDriveが69.5ポイントで4位となった。5位はAmazon Driveで66.6ポイント、以下Evernoteが65.9ポイントと続いている。 また、満足度の高い事業者のサービスは、「データ保管容量が大きい」「ユーザーインターフェースが良い」「データの共有がしやすい」といった点が評価されているという。

サービス利用者がクラウド上に保管しているデータ量を見ると1?10ギガバイトが全体の43%、1ギガバイト未満が20%となっている。10ギガバイト以上が19%であった。データ量は昨年と比べて増加しており、今後も増加傾向は続きそうだ。

クラウドストレージサービスに満足する理由の1位はデータ保存容量の大きさ

  • 仕事で利用中のクラウドストレージに満足している理由

クラウドストレージを仕事で利用している人は、「データ保存容量が大きい」ことや「運営会社が信頼できる」ことを満足している理由として挙げている。「セキュリティが充実している」ことや「操作がしやすい」「データ共有がしやすい」ことも重要な指標となっているようだ。

リモートワークの機会が増えていることからクラウドストレージサービスを仕事で利用するユーザーも増加傾向にあり、信頼性やセキュリティ、データ共有の重要性はさらに高まると予想される。また、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末を通じてリモートワークを行うユーザーも増加するため、クラウドストレージサービスの市場は今後も拡大する見通しである。