川崎市産業振興財団 ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)と東京都医学総合研究所(TMIMS)は、新型コロナウイルス(COVID-19)の再来・再燃および、さらなる新たなコロナウイルスの襲来に備えることを目的に、アジュバント機能一体型mRNAワクチンを迅速に開発する技術の確立を目指した共同研究を4月1日より進めていることを明らかにした。
iCONMはmRNA医薬搭載型スマートナノマシンの研究開発を推進しており、すでに変形性関節症や脊髄損傷の治療を目的とした研究でポジティブな結果を得ているほか、アジュバントとmRNAを同じ抗原提示細胞に導入することで、効果的に抗原に対する免疫を誘導することが可能な「アジュバント機能一体化mRNA ワクチン」をがん治療に応用する研究も行ってきた。
一方のTMIMSは、天然痘ワクチンの有効成分であるワクシニアウイルスを用いた長期免疫獲得の技術を有しており、この技術を応用して新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発を行ってきた。
研究グループでは、ヒトに感染するコロナウイルスは、現在7種類知られているが、そのうち4種類は一般的な「風邪ウイルス」と呼ばれるもので、2002年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が、2012年にMERS(中東呼吸器症候群)、そして2020年に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行するなど、約10年ごとにコロナウイルスの亜種が発生していることから、今後も新たなコロナウイルスの変異種が発生する可能性が高いとしており、両者の技術を組み合わせることで、将来に向け、短期間で安価に効率よくワクチン生産ができる技術を開発することを目指すとしている。