NTTデータは6月4日、世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を受け、医療機関への貢献を目的に、同社及びグループ各社が提供中の医療機関向けのソリューションのうち最も迅速に実現可能かつ即応性の高いものに対して集中的にリソースを投下し、グローバルで機能強化を図ると発表した。
具体的には、遠隔医療ソリューションにおけるCOVID-19軽症患者を対象としたモニタリング機能の強化や、医療画像アーカイブソリューションを利用したCOVID-19患者の医療画像を収集・蓄積する専用データベースの構築等を予定している。
COVID-19感染拡大が医療全体に大きな負担をかけている中で、医療機関や政府機関などを支援すべく、同社の海外グループ各社が持つソリューションをCOVID-19対策向けに機能を拡充し、早期に北米、南米、欧州、に展開していく予定とのこと。
具体的には、遠隔医療診断ソリューションである「ehCOS Remote health」(イーコス リモート ヘルス)及び医療画像アーカイブソリューションの2種類。
ehCOS Remote healthは同社の海外グループ会社であるeverisが提供する、医療機関向けのクラウド型遠隔医療ソリューション。
患者がモバイル端末で自身の症状などを入力すると、セルフトリアージ結果とアドバイスを表示する「セルフトリアージ機能」、コールセンターなどのスタッフが患者の入力データをWeb経由でモニタリングしながらフォローアップする「リモートモニタリング・サポート機能」、医療従事者間のオンライン会議や医療従事者と患者間のオンライン診療を実現する「遠隔医療機能」、前述の機能で収集したデータと外部データに基づく「データ分析機能」などを提供するという。
everisは現在、利用を希望する全ての医療機関に対して同ソリューションを無償で提供しているという。
医療画像アーカイブソリューションは、同社の海外グループ会社であるNTT DATA Servicesが提供している、診断後の医療画像をアーカイブするソリューションである「Unified Clinical Archive」(UCA)であり、既に1000以上の医療機関に提供しているという。
同社グループでは、UCAユーザーの医療機関と共に、日本、米国、インド、スペインなどにおいて、UCAが保管する大規模な医療画像データを使用した画像診断AI(人工知能)の研究開発を進めているとのこと。
現在、COVID-19向けの画像診断技術の開発でAI開発者が直面している問題の1つとして、COVID-19検出アルゴリズムの開発に必要な医療画像データとそれに付与する学習用アノテーション(画像におけるCOVID-19の所見情報)の不足が挙げられるという。
そこで同社グループは、COVID-19患者の医療画像をアーカイブする専用データベースを新たに用意し、MD.aiの協力を得てアノテーション(特定のデータに対して関連する情報を注釈として付与すること)を行った高品質なCOVID-19患者の医療画像データを格納し、研究者や医療従事者に無償提供するとしている。