半導体市場動向調査会社である米IC Insightsが発表したアナログICサプライヤの売上高ランキングトップ10によると、2019年の上位10社の売上高合計は世界のアナログIC市場規模552億ドルの62%に相当する342億ドルを占めたという。上位10社の売上高合計は2018年の361億ドルから5.3%減となったが、市場シェアそのものは前年比2ポイント増の62%になったという。
アナログIC市場におけるシェアトップはTexas Instruments(TI)で、その売上高は102億ドル。2位のAnalog Devices(ADI)の2倍近い規模で、その地位は確固たるものと言える。同社の全IC売上高に占めるアナログICの割合は約80%と非常に高い。
同社は2019年、主に産業分野、スマートフォン/その他のパーソナルエレクトロニクス、自動車分野における売り上げが高く、これらの市場は今後も成長が期待できることから、収益体制としては盤石な状態が整っていると言える。
2位のADIは2017年にLinear Technologyを買収し、今やあらゆるアナログ用途に対応できる体制が整ったとしている。売り上げ構成も、産業分野50%、通信21%、自動車16%、コンシューマ13%と長期的に安定した分野に強みを持っている。
欧州勢としては、3位にInfineon Technologies、4位にSTMicroelectronics、6位にNXP Semiconductorsがそれぞれランクイン。3社のアナログIC売上高合計を市場シェアでみると前年比2ポイント増の18%となり、トップのTIに肉薄する規模となる。
5位には2018年4位であった米Skyworks Solutionsがランクイン(代わってSTが4位に浮上)。2018年、Skyworksは同社としては記録的な売上高37億ドルを達成したこと、ならびに中国のスマートフォンメーカーや通信、コンピューティング機器メーカーを大口顧客として抱えており、米中貿易戦争の影響などがあったことから、2019年は前年比13%減の32億ドルにとどまった。
7位ならびに8位のMaxim Integrated、ON Semiconductorはともに売上高を前年比13%減としたが、一方で9位のMicrochip Microchipはトップ10社中、売上高を前年比10%増と唯一プラス成長とすることに成功した。ただし、これは2018年5月にMicrosemiを買収を完了した影響によるものであるという。
そして10位に、日本企業として唯一となるルネサス エレクトロニクスがランクインしている。しかし、同社のアナログIC売上高は2017年に915億ドル、2018年に900億ドル、そして2019年は860億ドルとマイナス成長が続いている。2019年分には買収を完了したIDTの売り上げ分も含まれていることを考慮すると、ルネサス本体のアナログICの売り上げは相当落ち込んでいるものと推測される。ルネサス以外にも日本にはかなりの数のアナログ半導体メーカーが現在も存在しているが、いずれもトップ10には入れていない。