TSMCは5月28日、自動車で活用されるAI推論エンジン設計までの時間を短縮する7nmプロセス採用の車載IC設計プラットフォーム(Automotive Design Enablement Platform:ADEP)の提供を開始したと発表した。
同プラットフォームを活用することで、IC設計の顧客が車載向けAI推論エンジンやADAS、自動運転車向けの7nmプロセス採用ICを設計するのに要する時間を短縮することが可能になるとしている。TSMCの7nmプロセスは2018年より量産向け提供を開始、これまでスマートフォンやAI向けSoCなどの分野で活用されてきた。一方、車載半導体は高い安全性や信頼性が求められることから、従来は先端プロセスを適用することが難しかった。今回、TSMCでは、ISO 26262、AEC-Q100 Grade-1、IATF16949の3つの規格認証を取得することで、車載向け7nmプロセスの提供を可能にしたという。また、自動車分野で求められる長期間の製品供給サポートも約束しているほか、ウェハ製造に向けた自動車サービスパッケージ(Automotive Service Package)を提供することで、自動車部品に求められるDPPM(100万分の1の故障発生率)の目標達成を目指すとしている。
TSMCの研究開発および技術開発担当シニアVPであるCliff Hou氏は「自動車用途は常に最高レベルの品質が要求されている。ADASと自動運転の登場により、AI推論エンジンが道路を感知し、交通状況を把握し、ドライバーが一瞬で決断するために、強力かつ効率的なコンピューティングも求められている。TSMCは、7nmの豊富な製造経験と包括的な設計エコシステムで、より安全でスマートな自動車を市場に投入するという厳しい要求に応えていきたい」とコメントしている。