千葉工業大学は、同大人工知能・ソフトウェア技術研究センター(ステアラボ)がディープラーニングを用いて学習を行った人工知能(AI)が花の種類を自動分類するアプリケーション「ハナノナ」の機能強化を実施、認識できる花の種類を従来の406種類から770種類へと増加させたことを明らかにした。
ハナノナは2017年3月にWebサービスとして公開され、モチーフとするインスタレーションもアーティストと共同で製作され、同大東京スカイツリータウンキャンパスにて展示されるなどといった活動が行われてきた。また、機能強化に併せて2020年4月7日より、iPhoneアプリ版「ハナノナapp」の無料提供を開始。Appleの運営するApp Storeにて2020年5月15日時点で無料アプリランキングで2位を獲得し、同5月29日時点で約28万回のダウンロードを達成したという。
同アプリを開発した経緯について、同大では、「なぜ、花の名前なのか、というと、身近のもので名前がわかると楽しいものをいろいろ探した時に花が浮かんできました。家の庭にも近所にもある、公園にもある、季節が変わると花が交代する、名前を知っているとちょっと自慢できるなど、花は最高の題材でした」と、花が身近なものでありながら、よく知られた花以外の名前はなかなか覚えづらい、という点を逆手にとって開発が行われた、と説明する。
また、ハナノナappのユーザーからは、通信を行わずとも、スマホのカメラを花にかざすだけでリアルタイムで花の名前を表示する点などが評価されているとする。さらに、認識精度について、専門家にはまだかなわないが、ステアラボでの評価では86%の正解率を達成しているとする。
「ユーザーの声を聞いて感じるのは、ユーザーインタフェースや精度といった技術的な部分以上のところにもある」としており、「あるユーザーがTwitterで『お前そんな名前だったのか』とツイートしたことが印象に残っている」と、今まで手近なところで咲いている花だけど、名前までは関心がなかった人が、名前を知ったことでちょっとその花との距離が縮まったという感じに共感したと担当者はコメントしている。
なお、同アプリはiPhone版のほか、Webブラウザ版も提供されているが、同大では今後の目標として認識できる花を1000種類を超すまでに拡大していきたいとしているほか、高山植物など普段の生活ではなかなか目にしない花にも対応していくことを考えているという。また、ユーザー参加型の取り組みも考えているとのことで、花に詳しい人が、ハナノナに新しい知識を入力できるようにすることで、さらなる進化の方向性を模索したいともしている。