Huaweiがメモリの安定供給を要請か?

Huaweiが、中国深センの同社本社にSamsung ElectronicsならびにSK Hynixの幹部を呼び出し、今後の安定した半導体メモリ製品の供給を要請したと複数の韓国メディアが報じている。

米国政府の打ち出した米国企業の半導体製造装置を用いて作られた半導体の輸出禁止という追加制裁を踏まえた対応と見られる。米国政府は現状、外国で製造された半導体メモリのような標準半導体のHuaweiへの納入を禁止していないが、今後、米中貿易戦争が激化し、制裁がエスカレートしていけば、そうした標準品であるメモリの調達まで遮断される可能性があるという判断から、今回の要請を韓国の2大半導体メモリメーカーに行ったという。

SamsungとSK Hynixは、世界のDRAM市場の7割強、NAND市場の5割弱(台TrendForce調べ)のシェアを有しており、2社がHuaweiに販売する半導体メモリの売上高は1兆円前後ともいわれている。SamsungならびにSK Hynixはともに、Huaweiからこうした要請が実際にあったのかどうかについてコメントを避けている。

スマホ用APUは自社調達から外部調達に切り替えか?

Huaweiは米国政府による追加制裁の結果、子会社のHiSiliconが設計した5G対応スマートフォン用アプリケーションプロセッサ(APU)を事実上、ファウンドリに生産委託することができなくなった。そのため、ファブレスメーカーが提供する標準品に切り替える方向で、台湾MediaTekおよび中国の清華紫光集団傘下のUNISOCと協議を始めたといわれている。しかし、いずれの製品もHuawei独自設計のKirinチップよりは性能が劣るのは否めないことから、韓国の業界筋ではSamsungのハイエンドスマートフォン用APU「Exynos」の供給をHuaweiが要請するのではないか、という観測も出ている。

なお、Samsungの半導体事業としてのHuaweiは重要な大口顧客の1社であるが、スマートフォン事業として見た場合は最大の競合という微妙な関係にあり、同社の今後の対応が注目される。