次世代のプレミアムモバイル向けIPを発表
英Armは5月26日(英国時間)、モバイルデバイス向け新IPとしてCPU「Cortex-A78」、GPU「Mali-G78」、NPU「Ethos-N78」などを発表した。これに先駆け、事前説明会が行われたので、その内容を基にご紹介したい。
本来この発表会は、5月末に開催予定だったCOMPUTEX TAIPEIにあわせて行われる予定だったのだろうが、COMPUTEX TAIPEIそのものが今年は流れそう(5月26日時点では9月28日~30日に開催予定だが、台湾への海外からの入国は10月1日から段階的に解禁という話であり、しかも展示会であるためWebで開催するのもなかなか難しいだろう)とあって、単独での発表となった形だ。
まず今回発表されたのは、2021年のプレミアムモバイル機器向けCPU/GPU/NPUスイートである(Photo01)。
ラフな性能向上率はこんな感じである(Photo02)。
Cortex-A77の後継となるCortex-A78
まずCortex-A78であるが、これは現在のCortex-A77の後継となる製品、以前のロードマップで言う所の「Hercules」に相当するコアである。引き続きCortex-A55と対になる形でbig.LITTLE/DynamIQが構成できるとする(Photo03)。
具体的な性能であるが、コアあたり1Wという同じ消費電力枠で言えば、Cortex-A78は20%ほど高速であり、その一方でエリアサイズは15%ほど節約できるとしている。ちなみにこれはCortex-A55まで含んだ8コアでの構成でのエリアサイズの比較なので、実際にCortex-A78とCortex-A77のエリアサイズを比較すると20%以上の節約になるとみられる。
難しいのは、これがプロセスの微細化も含んで実現されるという点だ。TSMCのN5で言えば、2019年のArm TechConにおける発表では、
- 同じ消費電力なら15%高速化
- 同じ動作周波数なら30%省電力化
- 同じVddで動作周波数25%アップ
- ロジック密度1.8倍
- SRAM密度1.35倍
- アナログ部密度1.2倍
とされており、おそらく2.6GHz→3GHzが最初の「同じ消費電力なら15%高速化」の効果である。一方で、ロジック密度は最大1.8倍としつつ、キャッシュなどは1.35倍とされるので、平均すると50%程度の密度向上と見なすべきだろうか? ここから見ると、8コアで15%の節約、というのはおそらく「同じプロセスで製造すると30%以上エリアサイズが増えるが、5nmに移行することで15%節約することに成功した」というあたりではないかと思う。