IDC Japanは5月25日、国内5G通信サービスの市場予測を発表した。これによると、2024年末の国内5Gネットワークの回線数は6024万回線、2020年~2024年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は107.6%になると予測している。
国内のモバイル通信サービス市場における2019年末時点での回線数は約1億8680万回線で、同市場の回線数は2019年~2024年の5年間にCAGR 4.0%で成長し、2024年末には2億2763万回線に達すると予測。2019年末時点では、モバイル回線の多くが、人によるスマートデバイス(スマートフォンやタブレットなど)利用のために使われている一方、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)用の回線数も急増しており、すでに市場の回線数の一定比率を占めるまでになっているという。
同社では、今後の国内モバイル通信サービス市場の成長の大部分が、IoT用回線の増加によってもたらされると推測している。国内モバイル通信サービス市場への新型コロナウイルス感染症の影響については、オンライン学習の浸透や在宅勤務によるリモートアクセスの増加などが、需要をやや押し上げると見通している。
一方で、今後の経済状況の悪化による解約や外出先での通信の減少などによって、市場が押し下げられる可能性も考えられるが、モバイル通信サービスはサブスクリプション型サービスであり、かつ生活やビジネスに不可欠なものであるため、他のITセグメントに比べてマイナスの影響は小さいと予測している。
2020年3月に商用サービスを開始した5Gは、既存のスマートデバイス用途のLTE回線の置き換えと、コネクテッドカー、ヘルスケア機器をはじめとする新たなIoT機器の接続需要の増加などによって普及が進み、2024年には国内モバイル通信サービス市場全体の26.5%を占めると予測。
ただし、新型コロナウイルス感染症の5G普及への影響ついては、5G端末の供給の遅れや、一部のIoTプロジェクトの遅延などが、若干マイナスに働くという。5Gは、新しいアプリケーション体験をもたらし、より効率的な社会の実現に寄与すると考えられるが、これらの実現には5Gに加え、デバイスやアプリケーション分野でのイノベーションや普及によるコストダウンが必要になるという。
同社コミュニケーションズのリサーチマネージャーである小野陽子氏は「通信事業者は、5Gに関連するデバイスやアプリケーションを開発する企業と協業し、イノベーションの推進と新たな製品/サービスのプロモーションなどによる普及に注力すべきである」とコメントしている。