大手ベンダーからWeb会議サービスが続々登場

新型コロナウイルスの影響から、テレワークやリモート授業に取り組む企業や教育機関が急速に増えた。これまでも働き方改革の一環としてテレワークの採用は推奨されていたが、期待されていたほどは普及していなかった。

しかし、今回の新型コロナウイルスインシデントをきっかけにテレワークが一気に普及した。ロックダウンや外出自粛要請などを受け、テレワークの実施を余儀なくなされたことが発端となっているが、この取り組みで「テレワークは利用できる」と認識する企業が増加しているのは間違いのないところだ。

今後、テレワークの利用がどのように進むかはわからないが、少なくとも当面はテレワークの活用は加速すると見られる。賃料を削減する目的で、新型コロナウイルス収束した後も、テレワークの採用をさらに進める企業も出てくる可能性もある。本店をより賃貸料の安い物件へ移し、支店も廃止や縮小、それに替わってテレワークを活用するスタイルだ。大きな固定費である賃料を削減できれば、事業継続にとって有効だ。

こうした状況で、最初に脚光を浴びたWeb会議は「Zoom」だった。100人規模のビデオ会議を40分間までなら無料で開催できるというのが人気を得た大きな理由だったように思う。他のサービスが提供している上限人数では、会議が開催できないケースが多い。しかし、Zoomであれば無償で試すことができる。使ってみると簡単だし、アプリもサービスもよくできている。通信時間上限を撤廃する有償版の月額料金も廉価だ。一気にユーザーが増えるのも納得だ。

こうした状況を受け、Web会議サービスを提供してきたベンダーが大きく動き出した。Zoomと類似したサービスを類似した価格帯で提供するようになってきたのだ。先日、Googleが「Google Meet」の無償化を発表したが、Zoomのサービスを強く意識したものになっている。そしてFacebookも「Messenger Rooms」と呼ばれる同様のサービスを発表した。

FacebookのWeb会議サービス「Messenger Rooms」が開始

Facebookは2020年4月24日(米国時間)、「Introducing Messenger Rooms and More Ways to Connect When You’re Apart - About Facebook」において、同社のメッセージングサービスである「Messenger」にチームビデオ会議機能を導入すると発表した。この機能は「Messenger Rooms」と呼ばれている。それまれは一部ユーザー限定で公開していたが5月14日に正式公開された。

Messenger Roomsの主なサービス内容は次のとおり。

名称 Messenger Rooms
価格 無償
参加上限 50名
1回の会議の時間制限 無制限
Webブラウザからの参加
外部参加者の招待
モバイルアプリ
スクリーンとプレゼン共有

実のところ、Messenger Roomsは「Web会議サービス」としての機能はそれほど高くない。最大参加人数50名で会議時間上限なし、会議のロックや特定ユーザーの参加だけ許可するといったように最低限必要になる機能は用意されているが、他のサービスと比較すると「会議性」は弱い。

Messenger Roomsは、メッセージングサービス「Messenger」を強化するという位置付けの意味合いが大きいい。現在、これまでMessengerでコミュニケーションを取ってきたユーザーがZoomに流れている。FacebookはMessenger Roomsを投入することで、こうしたユーザーを取り戻すことを狙っているようだ。

メッセージングサービスとして、FacebookのMessengerは大きな成功を収めた。Messenger Roomsはこのサービスをさらに強化するためのものであり、「Web会議サービス」として利用できるものの、その方向性は弱い印象だ。