ベルギーimecとGhent University(ゲント大学)からスピンオフして設立されたベンチャー企業Loposは、新型コロナウイルスの問題の中、企業が活動を継続したり、対人活動を安全に再開したりすることをサポートする「SafedDistance(安全距離)センサタグ」を開発し、いくつかの企業での試験利用を経て、量産の準備をしていると発表した。

同ウェアラブルセンサタグは、企業の従業員たちが接近して業務を行っている際に、いわゆるソーシャルディスタンスのガイドラインに違反した場合、音もしくは振動による警告を発することで、それを利用者に知らせることを可能とするもの。位置情報や行動履歴などのデータは収集しておらず、ユーザーのプライバシーを保証できるとLoposでは説明している。

LoposのCEOであるJen Rossey氏は「新型コロナウイルスの感染拡大をできるだけ制限するためには、医療の専門家や政府によって設定されたソーシャルディスタンスのガイドラインを遵守することが重要である。SafeDistanceセンサタグは、専門家の定めたソーシャルディスタンスのガイドラインを遵守する直感的なツールとなる。このタグはスタンドアロンで機能し、ゲートウェイはなく、サーバやその他のネットインフラも必要ない」と述べている。

セーフディスタンスを実現する技術はimec/ゲント大が開発

SafeDistanceセンサタグは、imecとゲント大学が開発したウルトラワイドバンド(UWB)テクノロジーに基づいており、同技術を活用することで、誤差15cm未満の距離測定ができ、2台の機器が互いに近づくと、デバイス間の距離を高精度で測定し、安全な距離が守られているかどうかの判別を行うという。

imecのコネクティビティ研究担当プログラクマネージャのMichael Peeters氏は「研究開発から生み出された有望な技術を、スピンオフの立ち上げを通じて市場に投入することが私たちの責任であると考えている。Loposは、次世代のUWBテクノロジーソリューションのためのimecのR&Dプログラム内で開発された超広帯域およびサブGHz向けのソフトウェア知識、測位技術および高度なハードウェア設計に基づいて製作されている」と述べている。

なお、量産製品は5月末より1個99ユーロで発売される予定だという。

  • SafedDistanceセンサタグ

    SafedDistanceセンサタグの概要 (出所:imec/Lopos)