中国通信機器およびスマートフォン(スマホ)大手の華為技術(Huawei)が、欧州半導体大手のSTMicroelectroncsと組んでスマホ向けや自動運転向け半導体を共同で設計・開発する可能性があると欧米中の複数のメディアが報じている。
これら複数のメディアの大元の情報源は時系列などから鑑みるとどうやら4月28日付けのNikkei Asian Reviewのようである。HuaweiとSTはこの件に関してコメントを避けている。
これらの報道によるとSTにとって、Huaweiは上得意客の一社で、Huaweiは多数の半導体チップをSTから購入するなど良好な関係を構築してきたが、その関係性は半導体の共同開発にまで踏みこんだものになっている模様である。Huaweiは、傘下に半導体ファブレスIC設計会社である海思半導体(HiSilicon)を有しており、HiSiliconが設計した先端プロセスを採用したアプリケーションプロセッサをTSMCに製造委託していることが知られている。
Huaweiは米政府が2019年5月に発動した輸出禁止措置により、米国製半導体チップの確保が難しくなってきており、今後、米国製半導体チップのHuaweiへの輸出が完全に禁止となる可能性もある。また、米トランプ政権は、TSMCに対し、Huaweiの受託生産案件を停止させるべく画策しているとも伝えられている。こうした動きに対し、Huaweiは欧州とのパイプを太くすることで、サプライチェーンを多様化し、欧州勢から安定供給を受けようという狙いがあるようだ。
またSTは、自動車メーカー各社にも多数の車載半導体を納入するなど、車載半導体関連でも強みを有していることから、HuaweiはSTと協業することでコネクテッドカー向けに必要とされる先端車載情報通信分野に参入するのではないかとも見られている。
これまでにもHuaweiとSTの協力関係についてはさまざまな噂が流れていたが、両社は、この種のメディアによる報道に対して、米国政府を刺激しないようにするためか、沈黙を保ったままである。