台TrendForceのLED市場動向調査部門LEDinsideの調査結果によると、新型コロナウイルスの感染対策ビジネス市場が盛り上がりを見せており、併せてUV-C LEDが供給不足に陥っているという。
紫外線による消毒/殺菌効果が知られるUV-C(波長280nm未満)を照射するLED(UV-C LED)は中国の旧正月以降、需要が急上昇した結果、サプライチェーン全体で大規模な不足を引き起こす事態に陥っている。特にUV-C LEDチップそのものが極端に不足しているため、これらのチップの注文を検討しているLEDパッケージサプライヤは、見積価格が高騰するなかにあって、それでも入手が困難になっているという。
TrendForce 調査マネージャーのJoanne Wu氏は、「一部のUV-C LEDサプライヤは、2020年8月まで注文が埋まっている。さらに、UV-C LEDの注文の増加により、いくつかのサプライヤは前年比2桁の成長が見込まれている。LEDチップやパッケージを長年手掛けている企業は、Seoul Viosys、旭化成(Crystal IS)、スタンレー電気、Bioraytron(EpiledsとHPLightingによる合弁事業)、San'an Optoelectronicsなどである。UV-C LEDチップサプライヤとしてはPhoton Wave、Opto Tech、およびEpiledsなどがあげられる。
UV-C LEDの需要は中国から米国、欧州、日本など世界に広がっており、市場はピークに達しているとみられる。そのためTrendForceでは、2019年から2024年の間にUV-C LEDパッケージ市場の販売額が2019年~2024年の間、年平均60%の増加を見せると予測している。
また、各ブランドベンダは、新型コロナウイルスの感染予防対策向け需要の高まりに対して、消毒バッグ、消毒ボックス、マタニティ製品、UVトーチライト、ポータブル消毒/滅菌製品など、多数のUV-C LED製品をリリースしている。
家電ブランドも、UV-C LEDを採用した製品を展開するようになっている。同市場向けUV-C LEDサプライヤにはSeoul Viosys、Bioraytron、Lite-on、San'an Optoelectronicsなどがある。さらに、エアコンや表面殺菌、水殺菌などの商用アプリケーションでの活用も期待されており、こうした分野のUV-C LEDサプライヤにはSeoul Viosys、旭化成(Crystal IS)、スタンレー電気、日亜化学、Violumas、San'an Optoelectronicsなどが挙げられる。加えて自動車市場では、UV-C LED製品のほか、外付けデバイスやエアコンに組み込まれた消毒モジュールの形での採用も計画されているとのことで、これらのアプリケーションの拡大により、UV-C LED市場は安定した成長につながることが期待されるとしている。