中国政府は、Samsung Electronicsの半導体関連エンジニア200名の中国入国を特例で許可をだした。そのため4月22日、当該200名が韓国の仁川国際空港から中国国際航空のチャーター機で出国した。
彼らは中国陝西省西安市にある同社西安第2工場(3D NANDフラッシュメモリ専用工場)の第2期拡張を進めるための要員で、到着後に必要とされる一定期間の隔離措置は免除され、現場入りする予定だという。
中国外務省は、サプライチェーンの円滑な運営確保に必要な人員の移動制限を早期に解除する「ファストトラック」の設定をめぐり、いくつかの国と協議を行っており、韓国と「ファストトラック」を設けることで合意したことを明らかにしていた。
西安第2工場の第2期拡張で2021年にNANDを増産へ
西安市にあるSamsungの第1工場は、2012年に着工して2014年5月に生産を開始した。第2工場は第1期工事が2017年8月に着工し、2020年3月までにその生産ラインが部分的に完成。新型コロナウイルス感染拡大の中にあって休業することなく操業を開始。2020年8月までにフル稼働に持っていく計画だという。
また、そのまま第2工場は第2期工事を進め、2021年から生産ラインを稼働させる計画だとしていたが、予想外の新型コロナウイルス感染拡大で、第2期分の生産ラインを立ち上げるための技術者が韓国から中国に入国できず、計画がストップしていた。今回、中国政府の許可で200名のエンジニアが西安工場に入ることができたことから、遅れがちだった生産ラインの拡張作業が2020年5月から始まる見通しだという。
Samsungは、第2工場への第2期分の設備投資として追加で80億ドルを投じるとしているため、第2工場の第2期工事の投資額は当初の計画と併せて150億ドルに達すると見込まれている。
現在、西安第1工場では、月産12万枚規模で3D NANDを生産しているが、これに第2工場の第1期分として2020年中に月産6万5000枚規模が加わり、さらに第2期工事が完了すると、月産6万5000枚規模の生産能力が加わることとなり、第2工場の生産能力は月産13万枚となるため、西安工場全体としては最終的に2021年に月産で約25万枚の生産体制を構築する予定である。
ベトナムもSamsung技術者308名に入国許可
ベトナム政府も、Samsung Electronicsの韓国人エンジニア308名の入国を特例で許可したという。彼らは、アシアナ航空のチャーター機でベトナム北部のローカル空港であるヴァンドン空港に4月17日到着。クアンニン省の軍事司令部が、すべてのエンジニアを14日間、健康監視施設に収容したという。
ベトナム政府は以前、Samsung Displayのエンジニアの入国も認めていたが、今回の措置はそれに続くものである。
なお、Samsung Electronicsが2020年後半に発売予定の5G対応のフラッグシップスマートフォン(スマホ)に搭載される予定の有機ELディスプレイをSamsung Displayのベトナム子会社が製造、Samsung Electronicsのベトナム子会社がそれを用いてスマホを生産する予定であり、その生産ラインを構築するために、韓国から協力会社を含めて1000名を超えるエンジニアの派遣が必要とされているとのことから、現地の韓国大使館がベトナム政府にさらに多くのエンジニアのベトナムへの入国を要請している模様である。