プロノハーツは4月24日、製造業向けVRデザインレビューシステム「pronoDR」の最新版となる「pronoDRバージョン3.0」を発売したことを発表した。

2016年にバージョン1.0、2018年にバージョン2.0が提供されており、2年ぶりのメジャーアップデートなるバージョン3.0では、「すべての人が使えるVR」を目指して既存ユーザーからの要望も含めてさまざまな機能強化を実施したという。具体的な開発に際してのコンセプトは、「CADデータ変換を簡便・高速に」、「部品の選択・移動を可能に」、「表示機能を強化」の3点だという。

  • pronoDR
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  • pronoDRバージョン1.0ならびに2.0の概要

1つ目のCADデータの変換については、GUIを刷新。VR環境での操作に必要なすべての機能が1つのウインドウにまとめられ、10万部品程度の大規模データであってもデータ分割をすることなく、作業を行うことが可能になったほか、データ変換処理にかかる時間も、3次元データをUnityに移行させる際のエンジンを変更したほか、Unityに移行した後の作業性の改善も図ることで、おおむねバージョン2.0と比べて10倍程度、最大で15倍ほどの高速化を実現したという。

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  • バージョン2.0と比較したCADデータ変換の高速化比較

2つ目の部品の選択・移動という点については、これまでのVR環境では、CADデータの閲覧だけであったものを、部品(パーツデータ)単体での選択や、部品のXYZ方向への平行移動といったことなども可能になったとする。

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    部品単位でのVR上での移動も可能になったほか、移動後のデータをCADにCSVとして戻ることも可能になったという

3つ目の表示機能を強化という点については、選択した部品を透過表示にしたり、バージョン2.0では一部のユーザーの要望に応じて実装していた足跡表示機能も標準機能として搭載するなどが実施された。足跡表示は、実際にそこに立った(座った)場合、足はどこに置かれるのかを確認するのに活用される機能で、建機や建物の検証などで活用されるものだという。

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  • 表示機能の強化としてガラス表示や足元表示機能が追加

また同社では今後のロードマップとして、複数拠点への対応や点群データの連携強化、AR/MRへの展開などを検討しているとする。

なお、今回のバージョン3.0より、ライセンス形態を変更。新規契約の場合、サブスクリプションライセンスでの提供となり、「pronoDR Subscription Service」の年間ライセンスで年間保守契約が48万円(税別)、月極ライセンスで月間保守契約が8万円(税別)となっている。ただし、既存バージョンのユーザーは例外扱いとなるため、同社では問い合わせをしてもらいたいとしている。

また同社では、これまでpronoDRを提供してきた中で見えてきたユーザー層が多岐にわたり、かつそれぞれのユーザーの使い方がかなり違った使い方をしているとのことから、2020年秋をめどにユーザー会を開催したいとしているが、まだ開催規模や開催地については決まっていないとしている。