NECは4月27日、同社と建設・IT関連企業で構成するワーキンググループが第5世代移動通信システム(5G)を利用する建設現場の安全性向上への取り組みの第1弾として、高所作業時の墜落防止に必須である安全帯の使用を促進するシステムを共同で開発したと発表した。同プロジェクトでは、建設業界の企業にヒアリングを行うと共に複数のIT関連企業とディスカッションや試作を行い、実際の鉄塔を用いた実証試験により安全帯使用の促進に有効なことを確認したという。

今回の実証で用いたシステムでは、高所作業場所にサインビーコンを設置し、作業員のヘルメットには振動ビーコンを取り付けて、作業者が所定の高所エリアに入ると振動によるアラートで安全帯の使用を促す。また、安全帯のフックにはセンサーを取り付け、フックを掛けることでアラートは停止する。

  • 実証に用いたシステムの概要

加えて、フックの使用状況や作業員の位置情報は無線ネットワーク(同実証ではLTEを使用)によって常時サーバに送るため、現場責任者は管理画面で安全帯の使用状況をリアルタイムに確認できるほか、蓄積したデータを用いて作業場全体の安全帯使用状況を分析することもできるという。

  • 実証実験の様子

同実証は、2020年3月にNECネッツエスアイの研修施設内の鉄塔を用いて行い、アラートによる作業員への安全帯使用の通知や、無線ネットワークを通じた使用状況の確認やデータ化などに成功したとのこと。

今後同ワーキンググループでは、5Gを使用して作業現場からリアルタイムで高精細な映像を送信し、安全帯の使用状況を管理者が視覚的に確認できるようにするほか、外部関係者へのヒアリングを通じて高精細映像を利用した多様な労働災害防止対策などを発案・検討していくとしている。