新型コロナウイルスの感染拡大が続いてる。そんな中、解析ソフトウェアを提供するANSYSが、新型コロナに関するシミュレーション動画を公開している。

今回はそこから、ソーシャルディスタンス(社会的距離)に関するシミュレーション動画を2本紹介したい。

ソーシャルディスタンスとは?

「もう聞き飽きた」という方がほとんどだとは思うが、まずはソーシャルディスタンスについて簡単におさらいしておこう。

新型コロナのおもな感染経路の1つが飛沫感染だ。新型コロナは感染者の咳やくしゃみ、発声などによって飛び散った飛沫に含まれるウイルスを鼻や口から吸い込むことによって感染する。

そこで、感染者と一定の距離をとることでこの飛沫感染を防ごうというのがソーシャルディスタンスの基本的な考え方だ。ちなみに新型コロナの感染防止の観点から一般に推奨されているソーシャルディスタンスの距離は2mとされている。

以上を頭に入れた上で、動画のポイントを解説していく。

会話時には2mのソーシャルディスタンスを

初めに、感染者が咳をしている状況の動画を紹介する。

まずは1mの距離で感染者が咳をした場合について。見事に飛沫が会話の相手を直撃していることがわかる。

  • 1mの距離で咳をすると、飛沫が顔を直撃する (出所:ANSYS WEBサイト)

続いては、2mの距離で感染者が咳をした場合。この場合には飛沫が会話の相手まで届いていない。

  • 2mの距離をとっていれば、咳をしても飛沫は会話相手まで届かない (出所:ANSYS WEBサイト)

今までソーシャルディスタンスといわれてもピンとこなかった方でも、このようにシミュレーションによって可視化されると、ソーシャルディスタンスの重要性をよく理解していただけるのではないだろうか?

  • まさにソーシャルディスタンスはとても大切だ

    まさにソーシャルディスタンスはとても大切だ (出所:ANSYS WEBサイト)

ランニングする際の距離感について

次に、他人と一緒にランニングなどの運動をする場合についてのシミュレーションを見ていこう。この場合には注意が必要だ。

まず、1.5mの距離をとって、向き合って普通に会話している場合から。向かい合わせでランニングマシーンに乗っているような状況が当てはまるだろう。どちらも前後に移動することなく、ただ会話しているだけなら1.5mのソーシャルディスタンスでもまったく問題なさそうだ。

  • 1.5mの距離での会話では、問題なさそうだ (出所:ANSYS WEBサイト)

では、続いて並んでランニングしている場合をみてみよう。この場合、飛沫は真後ろへと流れていくため、こちらも特に問題はなさそうだ。

  • 並んでランキングしている場合、飛沫は真後ろに流れていっている (出所:ANSYS WEBサイト)

問題は、感染者の後ろを走っている場合だ。

真後ろを走っている場合には、前を走っている人からの飛沫が後ろを走っている人に直撃してしまう。この場合はソーシャルディスタンスとして1.5mの距離を取っていても十分とはいえない。

  • 真後ろを走っていると、飛沫の中に飛び込む形になってしまう (出所:ANSYS WEBサイト)

次は感染者の斜め後ろを走っている場合だ。この場合は飛沫は後ろを走ってる人のすぐ側をかすめてはいるが、直撃はしていない。一応大丈夫とはいえそうだが、おススメはできないだろう。

  • 飛沫に直撃こそしていないものの、少し風が吹いていれば話は別だし、前を走る人が少しでも横に移動してしまうと危険だろう (出所:ANSYS WEBサイト)

やはり他人と一緒にランニングなど運動をする場合には、並んで運動するか、もっと距離をとるのがよさそうだ。

まとめ

今回紹介したANSYSのソーシャルディスタンスに関するシミュレーション動画からいえることを簡単にまとめておこう。

・人と会話などコミュニケーションをとる場合には、咳による飛沫を想定し、2mのソーシャルディスタンスをとる必要がある
・誰かと一緒にランニングなど運動をする場合には、1.5m以上のソーシャルディスタンスを取り、後ろではなく、横に並んで運動する必要がある

なお、ANSYSのWEBサイトでは今回紹介したソーシャルディスタンスに関するシミュレーション動画のほかにも、マスクの効果やその正しい付け方に関するシミュレーション動画など、新型コロナに関する動画が公開されている。興味のある方はぜひご自身の目でチェックしてみられてはいかがだろうか。