KDDIとGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)による高精度測位情報配信業者のジェノバは4月24日、両社の技術基盤を活かした誤差数センチメートルのリアルタイム測位が可能な高精度測位情報配信サービスの提供に向けた業務提携契約を同15日に締結したと発表した。
ジェノバは、GNSS測量・測位の補正情報配信に関する特許技術を保有し、国土地理院が全国に設置している約1300点の電子基準点網を活用した仮想基準点方式により、リアルタイムにデータを収集・解析しGNSS測位に適したネットワーク型の補正データを配信している。同社の配信するデータと顧客のGNSS受信機で観測したデータを組み合わせ、リアルタイムに誤差数センチメートルの高精度測位を可能としている。
両社は取り組みの一環として、兵庫県におけるドローンを活用した森林資源量調査、および太陽光発電システム構築における地形データの測量において、高精度測位情報配信サービスを活用している。
これは、兵庫県と神戸市が連携して進めている「ドローン先行的利活用事業」のうち「ドローンを用いたレベル3飛行による森林資源量調査の実施」をKDDIと国際航業が共同で受託し、2月26日に実施した無人地帯での補助者なし目視外飛行(レベル3飛行)による森林資源量調査において、KDDIとジェノバは高精度測位情報配信サービスを活用した。
調査内容は樹高や立木本数調査などの森林資源量調査(現在は森林に立ち入り、直接計測などにより実施)について、(1)ドローンを用いた空撮調査の優位性 (安全性、効率化、高精度化)、(2)レベル3飛行による遠隔地調査の効果の2点を検証した。
これにより、兵庫県庁(神戸市)から約70km離れた宍粟市のドローンを遠隔操作し、同市の森林を高精度測位情報配信サービスを活用した位置精度が高い画像で撮影することで、森林資源解析用データの効率的な作成に寄与することを確認した。
一方、太陽光発電システム構築における地形データの測量に関しては京セラコミュニケーションシステムが建設を予定している栃木県大田原市の太陽光発電システム構築現場において、KDDIとジェノバは高精度測位情報配信サービスを活用したスマートドローンによる写真測量を実施し、その効果について確認。
KDDIのスマートドローンプラットフォームを用いた写真測量の実施、および既存測量手法との位置精度・実施コストを比較した結果、取得した空撮データで3Dモデルを作成し、土量計算を行うための施工管理に必要な等高線データの作成を行った。また、既存手法である航空レーザー測量と比較して、同等の測量精度を約2割のコストで実現可能であることを確認した。
今後、両社の技術基盤を活用することにより、誤差数センチメートルのリアルタイム測位が可能な高精度測位情報配信サービスについて、農業・自動運転・防災・防犯・災害復旧・インフラ点検などIoT・5Gの活用が期待されるさまざまな新規領域で、早期の提供を目指す。