矢野経済研究所が4月22日に発表した調査結果によると、2019年度のサブスクリプションサービス(食品・化粧品類の定期宅配サービス分野を含む7市場の合計)の国内市場規模はエンドユーザー(消費者)支払額ベースで6835億2900万円であり、2020年度は2019年度と比べて15.2%増の7873億円に拡大するという。
同社が言うサブスクリプションサービスとは、既存のサービスで一般的に提供してきた期間・回数・種類を超えて利用可能とし、かつ継続利用を前提とした、消費者向け(BtoC)の定額制サービスを指す。
対象は、衣料品・ファッションレンタル、外食サービス(外食などの食品・飲料提供における定額サービス)、生活関連サービス(家具・家電・日用雑貨・家事関連)、多拠点居住サービス(月額定額での短期間に住み替えまたは複数の住居に自由に住み替えが可能なサービスであり、シェアハウスやマンスリー系賃貸住宅は対象外)、語学教育サービス(インタラクティブコンテンツだが、通信教育は対象外)、デジタルコンテンツ(月額定額で利用できる音楽と映像サービス)、定期宅配サービス(定期購入システムのプラットフォームを利用して提供する食料品や飲料、化粧品類などの頒布会・定期販売サービス)の7分野。
サブスクリプションサービス市場は、デジタルコンテンツ分野及び食品・化粧品類の定期宅配サービス分野を除くと、まだ小規模な分野が多という。
しかし、これまでに無い商品やサービスの利用形態であることから注目が高まっており、市場全体としては徐々に拡大しているとのこと。
同調査における7分野の中には、まだ黎明期で市場が活発化しておらず小規模な分野もあるが、これからの成長が期待できると同社は見ている。
これまでは消費者(BtoC)向けのサブスクリプションサービスに耳目が集まっていたが、昨今では事業者間における受発注業務を中心に継続的な企業間取引を支援するといった、事業者(BtoB)向けサブスクリプションビジネス(継続的な企業間取引)を支援するサービス(システム)が登場しており、多様な業種での導入が進んでいるという。
なお、BtoB分野は同調査における市場規模には含んでいない。
2018年以降はサブスクという略語が広まるように一般的な認知が進んでいるが、従来には無いサービスゆえの課題もあるという。
サブスクリプションサービスのうち、デジタルコンテンツを除く物品やサービスにおけるサブスクリプションサービスは、継続利用を前提とした定額サービスのため、サービス分野によってはこれまでの生活スタイルとはうまく合致しない可能性もあるとのこと。
こうしたことから、ユーザー(利用者)の認知が進んでも実際のサービス利用までには至らず、ユーザーの利用機会が少ないために活発化しきれていない分野が多いという現状があると同社は分析する。
一方で、公共交通機関とサブスクリプションサービスを組み合わせたまちづくりの施策が見られるようになるなど、サブスクリプションサービスを利用する機会は少しずつ増えるものと同社は考えている。
こうした交通インフラと連携させたまちづくり活性化の動きや好調な分野もあることから、2023年度のサブスクリプションサービス国内市場規模はエンドユーザー支払額ベースで1兆円を超える規模になるものと同社は予測する。