高周波測定機器の校正サービス範囲を26.5GHzまで拡大

OKIエンジニアリング(OEG)は、自社で提供している高周波測定機器に対する校正サービスの校正範囲を従来の18GHzから26.5GHzへ拡大し、4月28日より正式サービスとして提供を開始することを明らかにした。

計測機器はその計測精度を保証するために決められた期間のうちに校正を行う必要がある。同サービスはそうした機器を活用する製造業などに向けて提供するもの。2018年9月、欧米の自動車産業向け品質マネジメントシステムの国際規格が従来のISO/TS16949:2009からIATF16949:2016に移行したことに伴い、「国家認定機関のマーク付き校正証明書」の発行が必要となったが、それに先んじた2018年3月、同社は自動運転やコネクテッドカー、ADASなどに対応した各種通信機器、センサが米国市場を中心に増えていくことを想定し、ISO/IEC 17025を満たす校正機関などを認定する米国の試験所認定機関(A2LA)の認定を取得していた。従来のA2LA校正の範囲の周波数は18GHzであったが、ローカル5Gも含めた5Gの実用化に伴い、通信機器やセンサの高周波数対応が進み、測定機器の高周波対応も進んできたこともあり、今回、測定機器の校正可能周波数範囲を26.5GHzまで拡大するべく新たに認定を取得したという。

実際に26.5GHzに対する認定取得は2019年11月であったというが、この半年の間にアーリーアダプタ向けに校正サービスを提供しつつ、本格的なサービス提供に向けた体制構築を図ってきたとのことで、その体制が整ったことから今回、正式なサービス提供を決定したという。

校正対象製品はEMC試験用計測機器と呼ばれる信号発生器、オシロスコープ、スペクトルアナライザ、EMCテストレシーバーなどで、これらの高周波対応計測機器の校正を行うことで、5G関連製品や車載通信機器の正確な電波を発信して通信できているかを正確に測定することができるようになる。

工場を止めさせない、OEGの思い

新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、多くの企業が在宅勤務を進めているが、ことものづくりの現場に至っては、生産設備を稼働させる必要があるため、現場にスタッフが出向く必要がある。4月22日時点で、多くの異業種がマスク生産を進めているが、そうしたマスク生産の設備にしても、無人で材料の搬入から加工品のパッケージまでできるわけではない。先般、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)からも、半導体工場が新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言時においても、設備の特性上、生産停止が困難なものとして事業継続が求められる事業者の対象として認められたとアナウンスが出されるなど、工場というものは止めろといわれて、すぐさま止められるというものではない。

工場を止めないという点では、定められた期間のうちに実施し、証明書の発行を受ける必要がある校正だけを後回しにするという訳にはいかないため、OEGもこうした状況下にあっても、校正に携わる従業員へのマスク支給、チーム分けでの作業の実施、作業時の距離を取る、食事も別々に実施、温度や湿度を一定に保つIATF16949対応標準室での作業も3人以上での作業を行わない、などといった感染対策を施しつつ、校正サービスの提供を続けているという。「我々は断らないでサービスを提供していく」と同社では語るが、それも顧客の工場の操業を止めないための思いからでてきた言葉だろう。

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    標準室内で高周波計測機器を校正する様子 (画像提供:OEG)

同社ではこうした状況下ながら、預かり校正サービスのほか、客先に訪問して行う出張校正サービスも感染に細心の注意を払いながら継続して提供しているという。

そのため、今回の高周波測定機器の校正のみならず、校正サービス全体で見て、受注件数が例年よりも増加傾向にあるという。

なお、同社は今回の認定範囲を拡大した高周波測定機器向け校正サービス(ISO/IEC17025校正)について、年間3000万円の売り上げを目指すとしている。この販売目標金額については、2017年にサービス提供を開始して以降、2018年のA2LA認定取得などを経て、2019年度には前年度比で売上高が倍増したこと、ならびに5G市場の拡大などを受けて前年度比2.5倍となるが、同社としてはそれくらいの盛り上がりを感じているとしており、達成に自信を見せる。

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    高周波測定機器校正サービスの売り上げ目標 (資料提供:OEG)

また、2021年度には40GHzまでカバー範囲を拡大することがターゲットに入っているともするが、あくまで目標であり、まずは今回の26.5GHzまでの校正範囲で実績を積んでいくことで、より多くの顧客からの信頼を勝ち取っていきたいとしている。