PTCの日本法人であるPTCジャパンは4月22日、同社が提供する3D CADソフトウェア「Creo」の最新版となる「Creo 7.0」の提供を開始したことを発表した。
今回のバージョンで追加された主な機能は以下の5点
- ジェネレーティブデザイン
- リアルタイムシミュレーション
- マルチボディ設計
- 作業効率化のための機能改善
- 付加製造・材料除去製造
特にジェネレーティブデザインは近年、新たなものづくりの向けて注目が集まっている機能で、同社としても2018年にFrustumを買収し、同社のジェネレーティブデザイン技術を進化させた第2世代技術を搭載することで、クライアントPCのCPUやGPUを活用してCreo上でどこの領域をジェネレーティブデザインで処理するのかを指定してやるだけで、CADと連動した形で最適な形状を導きだすことが可能となっている。
具体的には「Creo Generative Topology Optimization Exztension」を活用することで、Creo上で製造しやすい形状を設計の初期段階から活用することができるようになるとしている。
また、将来的な機能拡張もすでに視野に入っており、将来的には何φのエンドミルで削った場合の処理といった指定ができるようになるとしているほか、2020年秋リリース予定の「Creo 7.0.2」ではクラウドでのジェネレーティブデザインを可能とする拡張機能「Creo Generative Design Extension」が追加される予定だという。
リアルタイムシミュレーションについては、ANSYSとの協業成果である「Creo Simulation Live」に新たに流体解析機能が追加された。これにより、リアルタイムで外部流れや内部流れなどを瞬時に把握することができるようになるという。
また、将来的にはCreo 7.0.2においてANSYSの高精度シミュレーションによるソルバを直接Creoに組み込んで活用できるようになる拡張機能「Creo ANSYS Simulation Extension」が追加される予定だという。
そしてマルチボディ設計は、「あえてモデリングの一部とせず、新たな独自カテゴリとした」(PTC DVP/Creo CAD事業担当GMのブライアン・トンプソン氏)とするほどの力の入れようの機能で、Creoのジオメトリエンジンが単一の部品の中において複数のボディを認識できるようにすることで、モデリングの効率を向上させることを可能としたものとなっている。
これにより、モデリングデータの一部だけ材料を変更して利用する、といったことも容易になるという。
付加製造については、ストキャスティック・ラティスやユーザー定義ラティスの改善が図られたほか、Additive WorksのAmphyonと連携するAPIなども追加されたとする。
材料除去製造については、新たにスイス型加工機(旋盤)をミーリング・旋盤ワークセンターの定義に追加したことで、カスタムコマンドを不要にしたほか、同期化の際の可視化を図ることで操作性を向上させることが可能になったとする。
なお、トンプソン氏は「さまざまな新技術をこれまで同様のCreoの環境を変えずに活用できるような形で統合したことは重要なポイント」と説明しており、今後もユーザーの作業効率化に向けた機能改善を継続して行っていくとしている。
また、同社は世界的な感染拡大を見せる新型コロナウイルスの影響で変化する企業の勤務体系などを考慮し、社内のネットワークに直接アクセスできない場合での柔軟なライセンス利用を可能にする取り組みを進めているとするほか、Eラーニングやインストラクターによる無償オンライントレーニングなどの提供を進めることで、製造業の事業継続に向けた支援を図っていくとしている。