フェローテックは、中国で300mmシリコンウェハの再生事業に参入するため、 約5億人民元(日本円で約76.5億円)を投資することを決めたことを明らかにした。
ウェハ再生とは、膜厚測定などさまざまな検査目的で使用したモニタウェハや製造途中で不良となったウェハの表裏両面の被膜をはがして研磨しなおして新品同様なウェハに仕上げ直す作業である。
70億円を超す投資の中身は再生ウェハ工場の建屋、クリーンルームを含む内装、附属設備、専用装置(研磨、洗浄、検査、測定各装置)などであるという。同社は、2019年8月に中国子会社の上海申和熱磁電子と中国安徽省 銅陵市政府との共同出資で、半導体シリコンウェハの再生サービス事業参入のための新会社「安徽富楽徳長江半導体材料(FTASM)を、銅陵市に設立したが、その後、社内にてウェハ再生事業に関する精査を行っていった結果、以下のような理由から300mmウェハ再生に向けた設備投資を行うことを決定したという。
- 中国における300mmポリッシュドウェハ市場の成長と共に、再生ウェハ需要は拡大基調にある一方、300mmウェハ再生事業者数はグローバルでも限られており、かつ米国、日本、台湾などに集中している。
- これまで培った半導体ウェハ研磨技術や精密部品再生洗浄技術が再生ウェハ事業に転用できる。
- 従来事業である半導体ウェハ事業や精密部品再生洗浄事業の顧客と再生ウェハ事業の顧客が重複するため、既存事業とのシナジーが期待できる。
- 再生ウェハ事業のキープロセスである使用済ウェハの被膜除去工程において、技術確立のめどが立った。
すでに銅陵市 金橋経済開発区内の敷地(5万m2)に延べ床面積約4万m2の工場の建設を始めており、2020年9月に竣工、同12月に設備搬入、据付、テストを経て、2021年1月より試作、顧客認証を開始し、4月からの量産開始を計画している。第1期ラインとして、月産6万5000枚(300mmウェハ)の再生体制を構築し、その後、段階的に生産枚数を拡大し、最終的に月産20万枚の生産体制を敷く予定であるという。
同社は、300mmウェハ再生事業への参入に際して、ウェハ再生プロセスフローを公開。シリコン結晶製造を手掛けてきた同社は、得意とする研磨技術に加えて、今回、再生事業でもっとも重要な薬液による被膜除去技術の確立にもめどをつけたとしている。
中国では、YMTCが300mmウェハを用いてNANDの生産を始めているほか、DRAMについても複数社が参入を表明している。中国内の外資系(Samsung、SK Hynix、Intelなど)のメモリメーカーも増産に注力しており、ファウンドリも300mm化を進めるなど、300mmウェハの使用量が増加する見通しで、フェローテックでは、それに合わせて300mmウェハの再生需要も増加すると判断したようである。