Vir BiotechnologyおよびAlnylam Pharmaceuticals(アルナイラム)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであるSARS-CoV-2を含む感染症に対するRNAi治療薬の開発と実用化に向けて、両社の既存の複数標的開発の広範な提携関係を拡大することを発表した。
この提携拡大により、両社は、アルナイラムのsiRNA(低分子干渉RNA)新規コンジュゲートの肺への薬剤送達技術を、Virの感染症の専門性と能力とともに活用し、最大3つの宿主因子を標的とするSARS-CoV-2および潜在的には他のコロナウイルスの治療薬候補の追加開発を前進させるとする。
すでに決定している2つの標的は、SARS-CoV-2や他のコロナウイルスのウイルス侵入受容体であることが知られている「アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)」およびSARS-CoV-2のスパイクタンパク質を切断して細胞付着を促進すると考えられている「II型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)」で、3つ目の標的については、Virが現在進行中の、コロナウイルス感染に関係する新規宿主因子、およびsiRNA、mABs、または低分子が標的としうる新規宿主因子を特定する機能ゲノミクス研究から得られると見込んでいるという。
なお、今回改定された提携およびライセンス合意により、Virは選定された開発候補薬の開発の主導に加え、共同開発で得られ、薬事承認を取得した製品の実用化も主導することとなる。また、臨床のプルーフ・オブ・コンセプト(PoC)が認められた段階で、アルナイラムは抗コロナウイルス薬の開発と実用化に関わる損益の均等配分のオプションを有するが、抗コロナウイルス薬開発について合意した協業の結果得られる製品の売上高に対して、開発と実用化のマイルストーンとロイヤルティを受け取る選択をすることも可能になるという。