新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)の収束が見えない中、リモートでできることはやるしかない状況がまだまだ続きそうだ。
経験したことのないプロセスや環境変化、使ったことのないツールなどいろいろと慣れないことが多くなるが少しづつでも改善しながら良くしていくことが求められる。テレワークに切り替えようという企業に対し、OpenForumが「A Business Owner's Guide to Working From Home During the Coronavirus Outbreak」という記事で、テレワークのポイントを挙げている。寄稿するのは、Rodika Tollefsonさん。米国シアトル周辺を中心にビジネスマネジメントやサイバーセキュリティ、生産性などITを中心とした分野で筆を執っている。
従業員の環境を整える
まずはどの作業をリモートからするのかをしっかり区分しよう。業種によって異なるが、できるならOKではなく、できるのであれば安全にできるのか、環境やシステムなどの条件は揃えられるのか、そしてスタッフと同意できるのかなど、確認することはある。
自宅でできる作業であっても、作業するスタッフの環境はどうかーー自宅に高速なインターネット環境があるのか?作業する端末は会社のPCにするのかVPNを使えるのか?などの判断も重要だし、回線使用料や光熱費は会社負担にするのか?などもスタッフには気になるところだ。記事では、チェックリストを作って従業員と確認することを推奨している。
作業内容を明確に
オフィスから自宅に作業環境が変わることで、コミュニケーションもこれまで通りとはいかなくなる。テレワーク成功のポイントとして、"コミュニケーション"と"作業の目標設定"の2つを記事では挙げている。作業の見通しや目標について双方が合意し、メールでも良いので明文化しておくようにとアドバイスする。その際に入れておきたいものとして、以下の4つを挙げている。
・作業チェックのやり方と頻度
・コミュニケーション時に報告する内容
・通常の作業とは異なる部分、同じ部分
・テレワークになっても顧客やパートナーに同等のサービスを維持するために何をすべきか
どのぐらいの作業をどのぐらいのペースでできるのかに合意しておくことで、双方の誤解が減らせる。気がついたら全く違う作業をしていたなどということが防げるだろう。
コミュニケーションプロセス
チームメンバーが自宅で作業するようになっても、エンゲージを強めておきたい。チーム、あるいは企業のミッションやビジョン、優先順位、短期的な目標、現在どの段階にあるのか、などだ。メンバー間のコミュニケーションの道具として、メールなのかチャットなのか、基本的なプラットフォームを決めておきたい。メールが非同期であるのに対し、ビジネスチャットツールはリアルタイムで効率が良い。コラボレーションを想定して作られているので、連携できるアプリケーションも多い。
オンラインミーティング
テキストベースのメッセージツールではカバーできないのが、ミーティング(会議)だ。2人以上で話し合いが必要なときは、電話では難しい。オンラインミーティングのツールも用意しておこう。また、ドキュメントの共有についても、組織が許可するものを統一して明示しておくべきだろう。
データプライバシーとセキュリティ
テレワークで何を作業するのかにもよるが、何らかの機密情報が入る場合は特に、データプライバシーへの配慮をしておきたい。作業の内容とスタッフの環境によっては、自宅でその情報にアクセスすることを禁じるべきかもしれない。リモートアクセスを活用するテレワークでは、無防備な従業員の環境にデータがなんらかの形で移動する可能性がある。個人情報や企業機密などの情報、パスワードやIDなど内部侵入を許してしまう情報など情報漏えいに注意を払う必要がある。
自宅での作業でも、プリントアウトした情報はシュレッダーを活用するなど物理的な安全対策を行うように徹底すべきだろう。そもそもプリントアウトを許可するかどうかを含めて、ポリシーを決めておこう。特にこの分野は足が早い、一度決めたら終わりではなく、見直し改定して、浸透させる体制の構築も視野に入れておいたほうがよい。
柔軟性を持つ
この規模でテレワークをやるのは初めてというところが多いはず。やってみてスタッフの意見をもらい、変更すべきところは変更する柔軟な姿勢が重要だ。また、スタッフの自宅の状況も考慮したい。子供が家にいて作業できない場合は時間をずらす、生産性のレベルが多少落ちることを認めるなど、スタッフとその家族にとっても良いテレワークになるだろう。
なにぶんにも突如として現れた大きなインシデントのこと、組織レベルのものから機転を利かせて個人で対応できるものまで様々な課題が浮上することが予測される。少しずつでも改善していくスタンスが重要だろう。筆者の場合、ノイズや照明の調整だったり、普段とは異なるデスク回りのポジショニングであったり、ツールのスペックであったりと環境が異なる点の改善を行った。
データを共有しないノートPCのタッチパッド三本指操作で表示される仮想デスクトップが、限られたモニタサイズのなかの作業では、とても有効であることを再認識し、調整している。利用するソフトウェアのショートカットキーを整備することで作業がずいぶんと楽に。また、テレワークでたびたび指摘される運動不足による弊害には、やはりスマートウオッチが良いと感じる。常に身に着けるカロリー消費データの記録は、少しでも運動せねばと駆り立てられる。
工夫を凝らして改善を実感できると、ストレスも軽減される。長く付き合わなければならないことも予測されるテレワーク、不慣れな環境であっても少しずつ改善していきたいものだ。