ガートナー ジャパンは4月17日、企業がテレワークの効率性を高めるために検討すべきペーパーレスやファイル活用への取り組みについて発表した。

  • 新型コロナウイルス感染症:1年先まで見据えたペーパーレスとファイル活用への取り組み

    新型コロナウイルス感染症:1年先まで見据えたペーパーレスとファイル活用への取り組み

同社によると、テレワークを進める上で直面する紙問題として、(1)会社に行かないと仕事に必要な資料を閲覧できない、(2)いまだにビジネス・プロセスに紙を使い、押印/検印文化が残っている、(3)紙にまつわる組織文化と思い込みが社内に存在する——という3つをあげている。

なかでも日本企業の課題となっているのは(3)で、新型コロナウイルス感染症への対応が当面必要となる可能性を踏まえ、すべての日本企業は電子化と情報活用に向けた活動を加速させるべきだとしている。

ガートナーは、ペーパーレスの視点からテクノロジを展開するためのロードマップを作成し、1年先まで見据えたペーパーレスとファイル活用への取り組みについて提案した。これにより、テレワークからコラボレーション、より複雑なプロセスを含む電子化や情報活用へ歩みを進めることができるとしている。

テレワークでは、従業員個人が保有している紙の資料類や情報漏洩のリスクがない紙文書を、複合機/スキャナで電子化し、必要に応じファイル名を付与するなどして活用する段階だとしている。

コラボレーションでは、紙帳票の電子フォーム化や電子ファイル・ベースの運用、そして組織的な紙のスキャンをあげている。緊急対応としては、紙文書をすべてスキャンするのではなく、必要なものに絞り込むべきだとし、電子化の目的がテレワークのみの場合は、紙文書は少なくとも当面は廃棄しないようにすることも重要だという。

また、より複雑なプロセスへの対応として、より高度な電子ファイル活用、電子帳簿保存法と訴訟対応、顧客などに関わる紙のスキャンをあげている。このうち法令および訴訟への対応に関しては、電子帳簿/帳票や電子契約、電子請求といったソリューションを活用でき、電子帳簿保存法が適用されない契約書についてはプロバイダーによる簡易な電子契約書保管サービスを活用できるという。これらの対応は、紙問題への取り組みを3カ月、6カ月、1年先まで見据える場合に検討すべきだとしている。

ガートナーのアナリストでバイスプレジデントの鈴木雅喜氏は、ペーパーレスとファイル活用の取り組みについて次のように述べている。「新型コロナウイルス感染症への対応とテレワークを推進するために、企業は従来の慣行や紙文化を突き崩し、電子ファイル・ベースで業務を進められる環境への移行を図るべきです。その際は、直近の問題にだけ対応するのではなく、視野を広げて、やや時間のかかるペーパーレスとファイル活用への取り組みも検討し、自社の計画を実施していくことが重要です。ペーパーレスやファイル活用の領域に属する製品やサービスは数多く存在していることから、文書管理やワークフロー、ファイル共有などのソリューション選定時に見落としが発生する恐れがあります。また、テレワーク環境を展開するスピードを重視するあまり、企業が間違った選択をするリスクが高まっているため、注意が必要です」