科学技術振興機構は13日、日本科学未来館の新館長に米IBMワトソン研究所の浅川智恵子フェロー(61)が2021年4月1日付で就任すると発表した。2001年の開館時から約20年館長を務めてきた毛利衛氏(72)は退任し、名誉館長に就任するという。

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    浅川智恵子氏

浅川氏は水泳中の事故がきっかけで中学2年の時に失明。1985年に日本IBM東京基礎研究所に入社し、視覚障害者向けのデジタルシステムの研究に携わり、世界初となる実用的な音声読み上げソフトウエアを開発した。2009年に技術職の最高職位であるIBMフェローに選ばれ、2018年にワトソン研究所に移籍した。2019年には日本人女性として初めて全米発明家殿堂入りしている。

浅川氏は館長就任にあたり「未来館がインクルーシブ(包摂的)な未来社会をいち早く体験し、社会に実装する道筋を皆様と共に構想する場となれるよう、全力で取り組みたい」とのコメントを発表した。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標年である2030年に向け、女性や障害者が来館しやすい環境づくりや、未来館をSociety5.0の実験場にすることに尽力するという。

未来館は2001年7月に東京・お台場に開館した。1992年に日本人で初めて米スペースシャトルに搭乗した宇宙飛行士の毛利氏が館長に就任し、体験して考える展示施設としてのスタイルを確立した。