AIテクノロジー企業のAppier(エイピア)は4月14日、同社のチーフAIサイエンティストであるミン・スン氏によるAIがビジネスに与える影響や成功の秘訣を発表した。
同氏は、情報検索アルゴリズム、機械学習手法に続くAIの第3波として、深層学習(ディープラーニング)を挙げ、これは視覚、聴覚、触覚などの人間の知覚システムに関連している「知覚AI」に分類されるとしている。
深層学習は、音声認識や画像認識で使用されるが、製品に応用した場合は使用状況に応じて得られる結果が異なることを指摘する。
例えばスマートスピーカーは、直接マイクに向かって話せば的確に音声を解読するが、同じ部屋で他の人が話している場合など実際によく起きる状況下で使うとそれほどの性能がでない。同様に顔認識でも、的確な角度で映せば認識するが、公共スペースの監視カメラは一部の顔が部分的に隠れている大勢の人を判別するには十分な精度が出ない可能性があるという。
オブジェクト認識も同様に、乗用車の運転支援としては他の車両や歩行者を認識するが、その精度は気象条件によって異なる。カップや椅子などの居住スペースの中に存在するものはさらに認識しにくく、家の周りで人間を支援できるロボットはまだ多くないとしている。
深層学習は高品質なデータが多いほどシステムのパフォーマンスは向上するとしたうえで、これを実現するには学習データを実際の使用状況とできるだけ類似したものにすることが必要だという。
データを取得する最善策は、製品をユーザーの手に渡して日常生活での使用してもらい、そこからデータを収集することだとし、魅力的な製品を作るにはAIだけでは十分ではなく、AIと他の要素を組み合わせて提供する必要があるという。
しかし、長期的なメリットをもたらすのは AIであることは間違いなく、一旦この壁を突破すれば商品の品質が向上し、それが顧客基盤をさらに成長させ市場を拡大することができるとしている。
また、 深層学習の障壁としてデータを収集するコストが高いとしながらも、深層学習が非常に高度になり「教師なし学習」が可能になったという。教師なし学習が、教師あり学習と同じパフォーマンスを達成できる場合、ユーザーベースがあり生データを取得する限り、AI を使用してパフォーマンスを改善できるという。利益率は向上するうえ参入障壁が低くなり、より多くのアプリケーションドメインが、深層学習を活用できるようになるということだ。
現在の大きな課題は「どのようにAIを管理するか」だという。AIの管理者は、解のない問題を解決するために技術をしっかり理解する必要があるが、それは理解能力の問題ではなく、より多くのユーザー、より多くのデータ、より強力な AI の力を活用するには、活用すべき分野や領域ついての深い知識も必要だとしている。