デロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ リスクサービス(DTRS)は4月13日、企業が全社レベルでデータ利活用を高度化しながら、データリスクの最適化を実現するデータ管理基盤を「スマーターデータ基盤」と位置付け、その構築に向けたアドバイザリーサービスの提供を開始すると発表した。

企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の本格的な展開や「2025年の崖」への対応について、経営者が明確な経営理念・ビジョン、基本方針のもと進捗状況を可視化し、評価できるよう経済産業省による「デジタルガバナンス・コード」の策定が進められている。

デジタルガバナンス・コードでは、経営者がデータやデジタル技術を活用した取り組みとそれによりもたらされる価値の向上・創出に対してリーダーシップを発揮し、DXの推進状況を投資家などの市場関係者に対して説明する責任を有することが示され、変化への迅速な対応と同時にリスクのコントロールを実施することが求められている。

さらに、DX推進指標による企業の格付制度が検討されるなど、情報資産であるデータを活用した機会最大化とリスク最適化は重要な経営課題の1つになっているという。

今回、DTRSが提供するスマーターデータ基盤の構築アドバイザリーサービスでは、企業のデータ管理に関わる基本要素として「戦略」「統制」「業務」「組織・人材」「品質」「技術」の6つをスマーターデータ基盤の構成要素としており、各要素の成熟度を見える化し、全体最適の視点で段階的に強化していく。

戦略では事業およびデジタル戦略などと同期し、他要素の土台となるデータ利活用を推進するための全社戦略、、統制については情報資産であるデータの経営陣の監督を含めた戦略実行および法令順守を担保するルールや仕組み、業務に関しては外部委託先の管理も含めたデータの取り扱いにおける正確性と完全性の確立を目的に推進すること。

組織・人材では技量のある適正な人材や管理者の関与を可能とする戦略を実現する組織体制や人事制度、品質はAIによるデータも含めた品質基準の設定や評価と、全社で維持・向上されるための仕組みの構築、技術については最新技術活用とデータリスク削減を目的とするテクノロジーアーキテクチャーの選定や構築、強化などとしている。

これにより、全社レベルでのデータ利活用高度化とデータリスク最適化の双方を実現し、デジタルガバナンス・コードにおいて期待される成長に向けた攻めのIT投資・デジタル活用と、その進捗状況の把握を支援する。

構築アドバイザリーサービスでは、企業における上記6つの各構成要素にデータ基盤成熟度評価を3つの観点(付加価値創出、コスト最適化、リスク最適化)で行い、各要素の状況を5つのステージで評価。評価結果が可視化され、どの要素が不十分なのかを全体像として表現されるため、効率的な実行計画の策定に結びつける。

  • データ基盤成熟度評価の概要

    データ基盤成熟度評価の概要

実行計画では、各要素の詳細評価を参考に各要素の目指すべき成熟度レベルを設定し、そのレベルに到達するために実現すべき対応を整理することで、データ利活用またはリスクコントロールの実現容易性を加味した優先度を設定する。各社に合った6要素5段階のアプローチをベースに早期の成功体験を積み重ねることで、スマーターデータ基盤に近づくことが可能になるという。

  • 評価結果のサンプルイメージ

    評価結果のサンプルイメージ

また、導入・運用フェーズでは、可視化された成熟度を起点にDTRSが現行業務におけるデータ利活用の目的と課題を整理し、PoC実施から本番導入および本番運用までをPMO(Project Management Office)機能を中心に、それぞれの課題を解決する個別ソリューション導入を支援する。