東京電機大学(TDU)、エクスポリス、日本IBMは4月9日、地域社会における課題解決の促進を目的に自治体、企業、ユーザー間でのデータ流通や課題解決施策の共有プラットフォームの事業化に向けた共同検討に合意したと発表した。これに基づき、4月から9月まで長野県北安曇郡小谷村で実証実験を行う。
実証実験では、課題解決ソリューションの開発や供給を行う「データ流通プラットフォーム(DVP:Digital Village Platform)」と、DVPで開発されたソリューションを広く自治体に販売する「地域課題流通マーケットプレイス(DMP:Digital Market Place in DVP)」のプロトタイプ開発を行い、その後の検証を踏まえ、2021年4月からサービスを提供することを目指す。
日本IBMによると、地方創生を推進していくためには地域という多種多様な特徴を持った共同体のさまざまな試みが相互補完し合い、成功と失敗の早期共有と地域独自性の育成に対するアプローチを検討し、課題解決と魅力創出の相互奏効の実現に向けて取り組むことが重要なため、各地域の取り組みで得たスキルや知見、開発されたソリューションを共有・連携させることで、地域の取り組みを拡充させることと、それを支えるIT基盤が求められているという。
実証実験では「データ流通プラットフォーム」のプロトタイプを導入し、地域生活に重要なデータである温度、湿度といった環境データや土壌情報といった静的、動的な地域のさまざまなデータの収集、分析、また小谷村内で稼働する予定の水田水位管理システムや獣害通知システムとの連携、天候データなどを利活用した新しい生活の質の向上を目的とした地域課題解決ソリューションの開発を予定している。
また、これらのソリューションを地域課題流通マーケットプレイス上で販売するための検証を行い、自治体をはじめとした導入団体による評価制度に加え、導入コストなどの情報をやりとりするコミュニケーション管理・運用システムの構想も検討する。IT基盤としては、日本IBMのMaximo Asset Monitorを利用し、データの統合や設備の稼働状況の遠隔監視を支援する。
各者の役割として小谷村は実証実験場所およびデータ提供、実証実験以後の展開ロードマップおよびスケジュールの検討を、TDUとエクスポリスは実証実験におけるサービス内容および提供形態の検討、実証実験に必要となるデバイスの調達および開発、DVPおよびDMP環境のアーキテクチャ検討およびプロトタイプ開発、本番サービス提供に向けた検討を、日本IBMは実証実験におけるサービス内容および提供形態の検討、DVPおよびDMP環境のアーキテクチャ検討およびプロトタイプ開発、本番サービス提供に向けた検討をそれぞれ担う。
実証実験の結果を踏まえ、将来的には自治体行政、地域住民、関係人口、企業が地域データへのアクセス、独自にソリューション開発を行える環境を提供することや、地域の子供達や学生に対して地域課題解決に関する知識やSTEM教育の機会を提供することを目指す。
さらに、地域の取り組み、ソリューション発信の場を提供することで他自治体へのビジネス契機を拡大することや、ソリューションの買い手となる自治体において、IoT技術を活用した施策の策定から導入までの時間的かつ人的コストを削減することも検討する。