NTTデータ経営研究所は4月7日、NTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションが提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に「情報銀行の利用に関する一般消費者の意識調査」を実施したと発表した。調査は10代~60代の男女を対象に非公開型インターネットアンケートにより、2月12日~13日にかけて実施し、有効回答者数は1093人。
2018年の政府の情報銀行に関する認定指針公表を受け、民間の団体である日本IT団体連盟が情報銀行の認定事業を開始し、数社が情報銀行の認定(P認定:「情報銀行」サービスが開始可能な状態である運営計画に対する認定および通常認定)を受けたこともあり、一般消費者にも情報銀行が認知されるようになっている。また、3月10日に閣議決定された個人情報保護法の改正案によると、企業の保有するパーソナルデータについて消費者の求めに応じて電磁的記録を開示することが企業に課せられる見込みとなっており、情報銀行が開示を受けたパーソナルデータの受け皿になってくるものと予想されているという。
しかしながら、情報銀行はまだ一般消費者が広く利用する状況にはなっておらず、さまざまな企業が情報銀行ビジネスに参入すべく、求められる機能やパーソナルデータを活用した新たなサービスの検討・開発を行っている段階となっている。
そこで、情報銀行が広く一般消費者に普及し、パーソナルデータを活用することにより、これまでにないサービスを消費者が享受することができる持続的な社会の実現に向けて「情報銀行の利用に関する一般消費者の意識」を解明すべく分析を行った。
情報銀行の選択の条件・機能について「第三者からの認証/認定」と回答した人の割合は25.3%と最も高く、次いで「報酬の高さ」が18.8%と2番目に多かった。今後は複数の情報銀行サービスが開始されていくと予想される中、消費者が情報銀行を選択する上で、プライバシーマークなどのセキュリティに関する認証やIT団体連盟による情報銀行認定などの取得がポイントとなってくると推測している。
また「位置情報」については「どのような条件であっても企業に提供したくない」と回答したパーソナルデータについて、「位置情報」は70.7%、「住所、電話番号」は67.5%、「株式や債券、口座残高等の金融資産情報(ストック面)」は64.8%、「年収、借入等のその他の金融情報(フロー面)」は61.6%、「友人関係、所属コミュニティ」は60.8%と、60%を超えた。
一方で「趣味・嗜好」「テレビ視聴履歴」「電力、ガス、水道の使用量」「身長、体重、歩数等」については、どのような条件であっても企業に提供したくないとの回答は40%未満にとどまり、金銭やポイント等の対価を得る条件でパーソナルデータを企業に提供しても良いとの回答が多くなったかった。
さらに、データ活用サービスのニーズについては「自身の個人情報の追跡・安全性確認サービス」「医療機関間等での検査結果データ共有サービス」「信用力評価サービス」「企業が保有する個人情報の電磁的開示サービス」「参加者の趣味と予定から旅行を調整・提案」「参加者の食の好みと予定から日程・飲食店を調整・提案」「自動で買い物リストや献立を提案」「トレーニングデータと購買履歴を活用した商品提案サービス」「オーダーメード化された教育カリキュラム提供」「能力や可能性の観点からの個人与信サービス」「あなたに合った最適な保険商品を提案してくれるサービス」の利用ニーズを調査した。
結果として「自身の個人情報の追跡・安全性確認サービス」が最も利用ニーズが高く、肯定計(「是非利用したい」と「どちらかと言えば利用したい」の和)が54.7%であった。次いで「医療機関間等での検査結果データ共有サービス」の肯定計が47.8%となった。
パーソナルデータの提供における個人情報取扱に関する規約については「ある程度読んだ上で同意していることが多い」が46.2%、「あまり読まずに同意していることが多い」が38.0%、「全て読んだ上で同意していることが多い」が8.0%、「全く読まずに同意していることが多い」が7.9%となった。
一方で、個人情報の提供先企業における、自身の個人情報の取扱に関することで「気になるポイントはない」が14.5%にとどまり、気になるポイントとして58.5%の人が「それぞれの個人情報の第三者提供に関すること」、56.3%の人が「それぞれの個人情報の利用目的に関すること」、52.1%の人が「個人情報の安全管理に関すること」を挙げていた。