IDC Japanは4月6日、国内クライアント仮想化市場の動向について、ユーザー調査を分析した結果を発表した。今回の調査はクライアント仮想化導入済み企業(550人)および導入候補の企業(導入予定および導入検討中、550人)の経営層、IT管理者、エンドユーザーなど計1100人が対象となる。
2020年のクライアント仮想化導入率は27.7%と、前年と比較して3.5ポイント上昇し、産業分野別においても建設/土木を除く全業種で増加しており、特に金融の導入率は52.3%と昨年より10ポイント以上増加するなど他業種を大きく引き離している。
次世代のテクノロジーに対する関心度は、回答率の高い順に「ネットワーク仮想化:SD-WAN」「ストレージ仮想化」「音声による電話会議システムとの連動によるVDI配信」「Windows Virtual Desktop」「Zoom、Skype for BusinessなどコラボレーションツールとVDIの連携」となった。
高度化するエンドポイント環境において「ネットワーク」「ストレージ」「音声」「クラウド」「会議システム」はいずれも重要な要因であり、2020年はこれらのテクノロジーが大手企業において徐々に浸透していくと推測している。
今回の調査では、クライアント仮想化導入済みおよび導入候補の企業に対しテレワークの実施状況について、調査分析しており、テレワークの実施率は約8割に達し、クライアント仮想化をテレワークに活用していると考えられるとしている。
コロナウイルス、インフルエンザ、大震災などのリスクを考慮した場合、在宅勤務やリモートワークは必須と考えられ、VDIやDesktop as a Serviceはテレワークと親和性が高いため、未導入の企業はこれらを選択肢の1つとして検討し、活用することが急務であるという。
同社のPC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストである渋谷寛氏は「クライアント仮想化のみならずIT施策全般に関連して、多くのユーザー企業は『事業戦略とIT戦略の連携』『情報セキュリティの投資の決断遅延』など『人材/組織』『技術』『戦略』について頭を悩ましている。自社内のみならず信頼できるパートナー構築や外部リソースの活用も有効である」と述べている。