IDC Japanは4月3日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最新状況を考慮した国内ICT市場予測を発表した。これによると、2020年の国内ICT市場(支出額ベース)は2019年と比べて4.5%減の28兆2155億円になるという。
同社は、新型コロナウイルスの流行が海外経済及び国内経済に与える影響は大きいと見ている。
製造業におけるサプライチェーンへのインパクトや、飲食/宿泊/運輸などのサービス業の低迷、これに伴う産業分野での業績低下が出始めており、さらに2020年7月に予定していた東京2020オリンピック・パラリンピックの延期による経済的影響が拡大すると見込まれるという。
これらの経済的影響は国内ICT市場にも波及するといい、同社は2020年に発生し得るリスクなどを考慮し同市場を予測した。
2020年の国内市場の製品分野ごとの前年比成長率は、スマートフォン/PC/タブレットなどのDevice(デバイス)がマイナス22.0%、サーバ/ストレージ/IaaS/ネットワークなどのInfrastructure(インフラストラクチャ)がマイナス1.2%、Software(ソフトウェア)が4.0%、IT Services(ITサービス)がマイナス1.8%、Telecom Services(通信サービス)がマイナス0.5%と予測しており、国内ICT市場全体では対2019年比で4.5%減の28兆2155億円になると予測している。
2019年後半に、Windows 7のサポート終了に伴うPCの入れ替えや消費税増税/軽減税率対応に伴うPCなどの駆け込み需要があり、この反動によって2020年の国内ICT市場はマイナス成長になると見ていたが、2020年初頭から発生している新型コロナウイルスの影響によって市場の減少幅がさらに拡大するという。
これらの予測は現時点での新型コロナウイルスの最新状況を踏まえて、世界と国内において2020年6月末前後で感染が抑制され、一部の先進企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)投資が活性化し、景気対策の一環として政府によるICT投資が選択的に行われるという前提で作成しているとのこと。
今後の状況次第では、企業、政府、消費者レベルまで広くDX投資が活性化するというICT市場にとって楽観的なシナリオも想定しており、その場合の2020年における前年比成長率はマイナス3.3%程度に収まる可能性があると同社は見ている。
また、新型コロナウイルスのワクチンが完成する2021年半ばまで国内外での感染が抑制されないという悲観的なシナリオでは、前年比成長率はマイナス6.3%まで落ち込み、今後の状況次第ではさらなる成長率低下の可能性もあるとしている。