ブイキューブは、3月25日開催の同社の株主総会において、ハイブリッド型バーチャル株主総会の実現に向けた新機能の試験運用を実施した。実際の会場に来場した株主は10名程度で、オンラインでの参加者は120名程度いたという。

  • 3月25日の株主総会会場の様子

同社の株主総会におけるこれまでの参加人数は、会場に30名程度、オンラインで10-20名程度であったということから、今回、参加人数は倍増し、オンラインでの参加者が圧倒的多数を占めた。

この点についてブイキューブ 代表取締役 間下直晃氏は、「これまで遠方のため参加しなかった人も今回参加しています。これまでは、どちらかというと東京の人向けの株主総会という感じでしたが、バーチャル株主総会によって全国区への対応が可能になります」と説明する。

  • ブイキューブ 代表取締役 間下直晃氏

同社のバーチャル株主総会においては、参加者は新たなハードウェアやソフトウェアを購入する必要はなく、スマホのブラウザのみで参加できる。通常は、株主総会の招待状にQRコードを印刷して送付し、株主はそれを読み込むことでスマホで参加できる。招待状に記載されたQRコードを読み取れる人のみが参加が可能なため、これによって株主であるという確認も行える(QRコードは株主ごとに異なり、認証キーも含まれているという)。

  • スマホによる視聴

同社が今回、バーチャル株主総会を実施した背景について間下氏は、「株主から総会の配信のニーズは多少ありましたが、法律の整備ができておらず、企業側にも予算を割いて新たな試みにチャレンジする機運がそれほどなかったことから、われわれもそれほど力を入れてきませんでした。今回、新型コロナウィルスの関係で、ニーズは出てきたと思います。また、2月下旬に、経済産業省から、「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」が提供された点も後押しになりました」と語る。

同社ではこれまでも株主総会の視聴は可能であったが、今回は質問もできるようにした。招待状へのQRコードの印刷が間に合わなかったため、今回は議決権の行使はできなかったが、招待状できちんと案内できれば、議決権の行使も行えたという。

当日、質問はチャット受け付けたが、全部で4つの質問があり、2つはオンラインからの質問だったという。

実際にオンライン上で議決権の行使を行う場合は同社のV-CUBEセミナーというサービスを利用する予定で、賛成・反対のボタンを押してもらう予定だ。バーチャル株主総会の実施に向けては、現状、システム的にも法律的にも障害はなさそうだが、同社ではさらに検討し、サービス提供をめざしていく。

実際のサービス提供は、当日の運営スタッフや機材を含めて一括で提供する予定で、企業側が新たに機器を導入したり、設定などの準備をする必要はないという。

「このサービスは、ある程度数が出てくればビジネスになると思います。重要なのは企業のマインドを変えることで、こちらのほうが生産性が高かったという形にしたいと思っています」(間下氏)

Web会議への移行の課題は企業文化

新型コロナウィルスの関係で、Web会議の需要が高まっているが、V-CUBEミーティングなどテレワーク向けの製品を提供している同社においては、問い合わせ件数は前年同期に比べ平均で5倍程度になっているという。需要は、テレワーク向けに社内会議をオンライン化する用途や、顧客への営業プレゼンなどさまざまで、間下氏は、現在はセミナーの開催もできない状況なため、セミナー申し込みも含めすべてオンラインでできる環境も求められてくるはずだと話す。

競合製品との差別化について間下氏は、「われわれは中堅から大手企業をターゲットにしていますが、映像と音声の品質、セキュリティとサポートを求めるお客様に支持されています」と語る。

一方現状のテレワークの課題について同氏は、「ツール自体はそろっていると思います。あとは利用する企業側の文化と制度の問題だと思います。今回の新型コロナウィルスへの対応で、文化は変わり始めています。制度面では、就業規則は変えればいい話ですが、問題は評価だと思います。あと、場所の問題もあります。Web会議をする場所がないという課題です。そのため、われわれはテレキューブを展開しています。現状は駅が中心ですが、今後はマンションの1階やスーパー、コンビニなどにも展開していきたいと思います」と述べた。

  • スマートワークブース「テレキューブ」。テーブルを挟んである程度距離ができる、対面重視向けのグループ1型

  • テーブルを挟んだ対面距離も近いため、モニタを設置してのチームディスカッション向けのグループ2型