OEGがCBTLに認定
OKIエンジニアリング(OEG)は3月30日、IECEE(IEC電気機器安全規格適合性試験制度)が承認した各国の認証を運営する機関であるNCB(National Certification Body)の1つ、ノルウェーNemkoの認証機関試験所(CBTL)として2月7日付で認定を受けたことを明らかにした。これを受けてOEGは2020年4月1日よりCBTLとして、「EMC試験・電気製品安全試験とCB証明書申請サービス」を開始するという。
産業機器や医療機器、コンシューマ製品などの電気製品を海外に展開するためには、各国のEMCや製品安全認証を取得するための試験を行う必要がある。一般的には、海外展開したいすべての国ごとに、その国が定めた基準に沿った申請ならびに試験を行うことが求められる。しかし、それだと複数の国で展開しようと思うと、膨大な手間とコストをかける必要がある。
同サービスは、OEGが、顧客が海外展開したい電気製品に対し、IEC規格に基づいたEMC試験・電気製品安全試験を実施し、試験報告書を作成。NemkoへCBTLとして行った試験報告書をもとにした「CB証明書」の発行申請を行い、Nemkoがその試験報告書を基に該当製品に対して各国の認証で必要となる「CBレポート」およびCB証明書を発行することで、IECに加盟する54か国向けに相互活用できるようにし、顧客が各国ごとに試験を行わなくて済むようにすることを可能とするもの。同社では、各国ごとに認証を取得するのに比べ、手間もコストも抑えることができるとする。
NemkoとOEGが協力した背景
Nemkoは情報・家電分野といった電気機器などの認証を中心に強みを持つNCBで、日本でのサービス強化に向けた検討を進めていたNemkoと、顧客の海外展開の支援を強化したいOEGの思惑が一致。2年間にわたるNemkoとOEGの技術交流などを進めた結果、Nemkoからお墨付きを得ることができたという。
OEGでは、「この2年、その試験がどういう意味、考えで行われていることを、技術者自身も分かっているか、といった点なども含めた技量が試された日々を過ごしてきた。その結果として、技術力は各段に向上し、顧客によりよいサービスを提供することができる体制が整った」と、この2年間で世界品質に耐えうるだけの技術力を培ったことを強調するほか、「今後は、年に複数回、Nemkoの指導のもと、新規格などの話し合う国際会議に出席して、そうした最新の情報を踏まえた技術トレンドのサポートなども可能になる。今までのOEGは規格通りにできる、というサービスであったが、これからはそうした規格そのものの形成に参加することで、試験の最適な方法などについても協力することができるようになる」と、一段高いサービスを提供することが可能になるともしている。
CB証明書申請が可能な分野
OEGでは今回のCBTL認定取得にともない、これまで培ってきたワンストップサービスのノウハウのさらなる向上につながることも期待するとしている。
そのCB証明書申請サービスの対象となる産業分野としては、「医療機器」「産業機器」「情報/マルチメディア」としており、中でも情報/マルチメディア機器分野は2020年度の注力分野とするほか、世界的に医療機器(ヘルスケア機器)への関心が高まる中、そうした分野で強みを有する日本のメーカーの海外展開の支援なども期待できると思うとしている。
CB証明書申請サービスの初年度売上目標は1億円
なおOEGでは、CB証明書申請サービスの初年度(2020年度)の売上高を1億円と見積もっている。これは、同社が有する試験設備のキャパシティと試験スケジュールから見た値で、すでに既存顧客にはサービス提供に関する案内を出しており、今まで国外に進出できてなかった複数の顧客に興味をもってもらっているほか、今まであまり同社を活用することのなかった情報/マルチメディア関連の新規顧客からも興味を示してもらえており、今後もかなりの伸びしろが期待できるとしている。
そのため、需要次第では試験設備の増強なども図っていくことも検討していきたいとしており、引き続き、日本の企業の海外展開を強力に支援していきたいとしている。