新型コロナウイルス感染の有無をこれまでのPCR検査より短時間で調べることができる検査法を横浜市立大学と長崎大学が相次いで開発した。季節性インフルエンザの検査で使われるような「迅速検査法」で、新型コロナウイルス用はまだない。2研究機関の成果は簡単に使える検査法として早期の実用化が期待されている。

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    長崎大学などが開発した新型コロナウイルスの新検査法装置(長崎大学、キヤノンメディカルシステムズ提供)

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    米国の患者から分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像(Credit: NIAID-RML)

長崎大学とキヤノンメディカルシステムズ(栃木県大田原市)は19日、40分以内で感染の有無が分かるシステムを開発したと発表した。既に臨床研究を始めたという。研究グループはこのシステムを用いた装置は軽量、コンパクトで操作性にも優れている、としている。

長崎大学感染症共同研究拠点・熱帯医学研究所の安田二朗教授、吉川禄助助教らは、遺伝子増幅法の一つである「蛍光LAMP法」を応用して新型コロナウイルスの検出方法を開発した。3月14日に陽性と判定された長崎県壱岐市の感染者から採取された検体で検証した結果、ウイルス遺伝子を約10分で検出でき、ウイルス遺伝子を抽出するための前処理操作時間を含めても40分以内で検査ができたという。

横浜市立大学は今月9日に、新型コロナウイルス感染者の血清に含まれる抗体を検出することに成功した、と発表している。血液から分離した血清を調べてウイルスに対抗する抗体を検出する「ELISA法」「イムノクロマト法」の2種類の方法を応用している。民間企業(関東化学)の試薬キット化技術と組み合わせて最短で15分程度の短時間で結果が分かる新検査キットの実用化を進めるという。

横浜市立大学学術院医学群の梁明秀教授らの研究グループが、感染が既に判明している6人に今回考案した検出法を実施したところ、いずれも陽性反応が確認されたという。ただしこの検査法は抗体を見つけることが基本。このため感染早期は抗体が見つかりにくく、発症7~10日後の人の検査に有効という。研究グループは、どちらも血清を使う方法のために検体が採取しやすく、検体採取時の医療従事者などへの2次感染リスクが比較的低い特長があるとしている。

現在使われているPCR検査は、試薬と検体を混ぜた試料をいくつかの工程で処理してウイルス遺伝子を増幅させる。このため検査結果が出るまで通常4~6時間かかるとされている。2研究機関の研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の支援などを受けて行われた。

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