韓国企画財政部傘下の関税庁の発表によると、2020年3月1~20日の輸出総額が、前年同期比10.0%増の306億9700万ドルとなり、同4.5%増を記録した2月の同期間に続いて2か月連続での増加となったという。
中でも半導体だけに限ると、同20.3%増、2月の同期間も同15.4%増と伸びており、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の最中にあっても好調に推移しており、韓国の半導体産業関係者からもまったくの予想外の事態だ、という声があがっている。
こうした半導体の輸出増加について同国関税庁は「説明がつかない」と複数の韓国メディアに対してコメントを発表している模様だが、韓国産業通商資源省(日本の経済産業省に相当)の当局者は、「クラウドコンピューティング会社からの需要がサーバー向けチップの販売を押し上げたほか、米国や中国で在宅勤務が増えたことも、サーバー需要拡大の主な要因となっている」と語っているとロイターでは伝えている。
米シリコンバレーをはじめ世界各地で、政府機関による企業に対する操業休止や個人に対する外出禁止命令が出されており、社員の在宅勤務が増えているいる。そのため、外部との連絡やミーティングなどにテレフォンカンファレンス(テレカン)を活用する機会が増えており、それを支えるサービスプロバイダのデータセンターのサーバーや企業内部のサーバーの増強が急ピッチで進められていることが需要の押し上げにつながっているとみられる。また、学校の授業に加え、多くの国際会議や大規模イベントなどもオンラインでの実施の方向で進められており、すでに一部の動画配信サービスでは画質を落とすなど負荷の低減を進めているが、インターネットへの接続者数そのものは増加することが見込まれるため、サーバー特需と、それに伴う半導体需要の増加はしばらく続くものと予想される。