横河電機の100%子会社であるアムニモは3月24日、産業用LTEゲートウェイ「Edge Gateway」の開発を開始すると発表した。
昨今、産業用IoT(IIoT)の普及に伴い利用者の業務プロセスの改善に成功した例が増えてきているが、同時に「厳しい外部環境下で障害を抑制したい」「仮に障害が発生した場合でも現場に駆けつけることなくリモートから対処したい」という運用上の課題があるほか、映像のような大容量のデータをエッジで高度に処理したいという需要もあるという。
そこで、同社は産業用IoTシステムに最適なEdge Gatewayの開発を開始。Edge Gatewayは、さまざまな産業で利用可能なLTE通信機能を搭載し、特に監視カメラ用途に最適化された設計を目指している。
主な特徴として、広い動作温度範囲と動作電源電圧範囲、ノイズや瞬停(瞬間的な停電)に強い電源回路を備え、障害発生時に自律回復する機能を備え、屋外でも安定した動作を実現するという。
また、2GBのRAMや32GBのプログラム保存領域(eMMC)を標準搭載するとともに最大2TBのSSDが搭載でき、取得した大容量の映像データをEdge Gateway内への保存が可能なことに加え、PoE対応機器への給電機能を搭載し、PoEハブなしで最大4台のIPカメラを直接接続できる。
さらに、通信モジュールには2種類のプラスティックSIMカードと2種類のeSIMの合計4種類の異なるキャリアのSIMを装着でき、万が一の際はSIMの高速切り替えを行うことで通信障害を克服するほか、Ubuntu OS上でカスタムアプリの開発が可能であり、パートナー向けにソフトウェア開発キットも提供する。
加えて、VMS(Video Management System:監視カメラで撮影した映像を保存・管理するためのシステム)アプリを標準搭載し、大規模から中小規模までの監視システムを容易に構築することができ、Edge Gatewayの内部には拡張ボード用スロットが用意されており、今後の機能拡張をスムーズに実施することを可能としている。
一方で、Edge GatewayなどのIIoTデバイスの運用上の課題を解決する「デバイスマネージメントシステム」の開発も開始。
これは、IIoTデバイスの初期設定、ファームウェアや設定内容の遠隔更新、設置場所の管理、設備の死活監視、運用時のログ収集、トラブル時の問題解析および交換時の設定内容の引継ぎなどを円滑に実施することを可能とし、運用者の負担を軽減するクラウドサービスとなる。