NECソリューションイノベータは3月23日、福島県福島市において自治体の職員配置の最適化と業務の効率化に向けて、福島市およびNECと共同し、AIを活用した実証実験を開始した。今後、実証実験の結果をもとに各職員のライフイベントに合わせた最適な働き方の提案や、職員の保有スキルに合わせた最適な部署の推薦などを検討していく。

福島市には約2000人の職員がおり、毎年約4分の1にあたる職員が定期的に異動しており、公平で迅速な住民サービス提供のためには職員がそれぞれ有するスキルを最大限に発揮できること、職場における男女比率を均等にすることなど、複数の条件を考慮した職員の配置が必要だという。

これまで同市では、こうした人事異動業務を人手で行っていたが、多大な業務負荷が生じていたほか、業務の属人化も課題となっていた。そこで、NECはAIを活用し、人事異動案策定にかかわる業務の効率化を行うための実証実験を共同で行うことにした

実証実験では最適な職員配置に向けて「福島市全職員の異動候補者案および最適配置案の選定・検証」「暗黙知も含めた人材配置の条件の探索・検証」を行う。

異動候補者案および最適配置案の選定・検証では、これまで人手では時間を要した福島市の全職員を対象にした異動候補者の選定や人手では難しかった最適配置案をAIで選定し、検証を行う。これにより、人材配置の検討に要する時間を短縮するとともに、職員のパフォーマンスの最大化を目指す。

暗黙知も含めた人材配置の条件の探索・検証に関しては、NECの意図学習技術を用いて、過去の異動情報から既存の条件や暗黙知となっているルールを探索して明文化。

同技術を用いて探索した条件と過去の異動情報を突合させて、AIに繰り返し学習させることで確度を高め、最近の人事情報から既存の条件を満たした最適な人材配置ができるかを検証する。また、暗黙知となっているルールが検出された場合には、そのルールも含めた検証を行うことで、今後の人事異動業務における業務負荷の軽減と属人化からの脱却を図る。