探査機「はやぶさ2」が探査した小惑星「りゅうぐう」が隙間だらけの物質でできていることが、観測データの分析で分かった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの研究グループが17日、発表した。地球など、岩石でできた天体ができる仕組みの理解につながる可能性がある。
はやぶさ2に搭載された中間赤外線カメラを使い、りゅうぐう全体の地表の温度変化を観測した。その結果、地球の石などに比べると非常に温まりやすく冷めやすいことが判明。理論計算を加味し、りゅうぐうは極めて隙間が多いスカスカの状態で、凹凸が激しいことが導かれた。また、地表の岩と周辺の土壌が同じ温度で、いずれも1日の温度変化が小さく、やはりスカスカの物質であることも分かった。
岩石でできた天体は、太陽系の形成初期に低密度のちりが集まってできたと考えられている。ただ、ちりから高密度の岩石の天体へと成長した原因は分かっておらず、はやぶさ2の探査の重要なテーマの一つとなっている。研究グループは「隙間だらけのりゅうぐうは、原始の太陽系で高密度の天体が形成する途中の段階を示しているかもしれない」としている。
はやぶさ2は2018年6月から昨年11月までりゅうぐうに滞在。2回の着地で地表と地下の試料を採取できたとみられている。現在は地球から約2億2000万kmの位置を航行中。今年末に地球に帰還し、試料を収めたカプセルをオーストラリアの砂漠地帯に投下する。
研究チームはJAXAのほか立教大学、足利大学、千葉工業大学、会津大学、北海道教育大学、名古屋大学、独航空宇宙センター(DLR)、独マックス・プランク宇宙物理学研究所、英スターリング大学で構成。この成果は英科学誌「ネイチャー」電子版に3月17日(日本時間)に掲載された。
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