国立がん研究センターは17日、最新のがん10年生存率は約57%、5年生存率は約68%になったと発表した。いずれも前回より上昇しており、診断、治療方法の進歩が反映した形だ。生存率は今後さらに向上すると期待されている。

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    国立がん研究センターの中央病院(国立がん研究センター提供)

10年生存率の発表は5回目で今回は2003~2006年にがんと診断された人が対象で全国19のがん専門病院などの施設で診断、治療を受けた約8万1000人を集計した。その結果、18部位を合わせたがん全体では57.2%だった。データを集計し始めた1990年代末から改善が続き、昨年の集計より0.8ポイント上昇した。

部位別で生存率が高かったのは前立腺がん(97.8%)、乳がん(85.9%)、甲状腺がん(84.1%)、子宮体(81.2%)など。一方低かったのは膵臓がん(5.3%)のほか、肝臓がん(15.6%)胆のう胆道がん(18%)など。

また5年生存率は2009~2011年に全国32施設でがんと診断された約14万3000人が対象。がん全体では68.4%で、前年集計よりも0.5ポイント上昇した。部位別では前立腺が100%だったのを筆頭に乳房(女性)(93.7%)、甲状腺(92.4%)などが高かった。一方低かったのは10年生存率同様に膵臓(9.9%)、胆のう胆道(28.6%)などで、こうした「難治がん」の早期診断、治療方法の開発が今後のがん医療の大きな課題となる。

がん生存率はがんの診断、治療の成果を評価する指標の一つでがんと診断された人が、5年、10年など一定期間経過した後に生存している割合。通常、がん以外の死亡の影響を除いた「相対生存率」が使われる。がん全体のほか、がんの部位、進行度、治療法ごとに細かく集計して「全国がんセンター協議会」のホームページで一般に公表されている。

生存率は部位や進行度などによって大きく異なるため、がん全体の生存率はあくまで一つの指標で、多くのがん専門医は、個々の患者の生存率は治療に全力を尽くす医師と患者の闘病の在り方で決まる、と強調している。

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