米国カリフォルニア州サンフランシスコ市およびシリコンバレーのほとんどを含むサンタクララ郡などサンフランシスコ湾岸(「ベイエリア」と呼ばれる地域)の6郡は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、3月17日未明から4月7日まで原則として市民の外出を禁じる「Shelter-in-Place(避難生活)」命令を出した。
ガソリンスタンド、薬局、食品スーパー、銀行など日常生活に欠かせない店舗以外の営業を禁じ、企業には事業運営を最小限にとどめることを要求している。これらの地域には、すでに2月末までに非常事態宣言が発令されていたが、今回、さらに踏み込んだ罰則付きで個人生活を拘束する命令が下された。
シリコンバレーには、2020年時点で多数の半導体ファブレス企業やICTサービス企業が群集しており、製造の現場に関わらないオフィスワーカーたちのほとんどが数週間前からテレワーキング(在宅勤務)に切り替えて事業を継続している。
同地には、すでに大型の半導体ファブは存在しないものの、Applied MaterialsやLam Researchをはじめとする有力な半導体製造装置メーカーが多数存在しており、製造装置の生産や研究開発はいまだに継続して行われている。そうした製造装置企業にも製造部門の操業停止が迫られ、対応に追われる事態に陥っているという。
Lam Researchが2工場での3週間の操業停止を決定
半導体製造装置大手のLam Researchは、3月17日(米国時間)から3週間ほどカリフォルニア州フリーモントとリバーモアにある半導体製造装置工場の稼働を一時的に停止することを求める命令を当局から受けたことを明らかにした。
また、同社はマレーシアでサプライチェーン活動を行っているが3月16日にマレーシア政府より3月18日から3月31日までの間、特定の事業活動を閉鎖する命令が発令され、それにはLam Researchの事業も含まれているという。
Lam Researchでは、従業員の健康を守ることを最優先事項ととらえており、当局の命令に従うためリバーモアとフリーモントの2工場で製品を製造したり、主要なサプライヤーから必要な部品を受け取ったりすることができなくなったという。これらの当局の指示により、Lam Researchの3月期の財務指針達成に影響を与える可能性があるとしている。
Veccoはサンノゼ工場の稼働停止で今期の業績達成目標を撤回
MOCVDやMBEなどの半導体製造装置メーカーであるVecco Instrumentsも、地方政府の命令でカリフォルニア州にあるサンノゼ事業所および一部顧客の工場が2020年4月7日まで稼働できなくなり、その結果、業績に影響が出るのは必至だえるため、すでに発表していた2020年第1四半期のガイダンス(業績達成目標)を撤回すると発表した。
公式発表をするしないにかかわらず、シリコンバレーの同業他社も製造現場の操業停止せざるを得ない状況に追い込まれている模様である。