FRONTEOは3月17日、独自開発のAIエンジン「KIBIT(キビット)」を活用し、東京都練馬区と共同で児童虐待(重篤なケース)の早期発見・対応のサポートを目的に、練馬区子ども家庭支援センターが運用している児童家庭相談システムへのAI導入に向けた実証実験を4月から実施すると発表した。
練馬区では子ども家庭支援センターにおいて子どもと子育て家庭に関する多様な相談に応じ、相談内容に応じた専門機関やサービスの紹介、必要な調整を行っている。近年、育児しつけ、養育困難、相談歴の問い合わせなどにより、子ども家庭支援センターへの相談件数は年々増加しており、2018年度には過去最大の6402件に達したという。
そのうち虐待相談は449件と少なく、過去の推移もほぼ横ばいで1割未満となっているものの、東京都児童相談センターに寄せられる練馬区民の虐待相談と合わせると1000件を超えており、現在は増加し続ける多様な児童相談において、子どもの生命に関わる重篤なケースを早期に発見して、適切かつ迅速に、必要な支援につなげていくことが求められているという。
今回の実証実験では、練馬区子ども家庭支援センターが児童情報を管理している「児童家庭相談システム」の児童記録内容をKIBITで解析。KIBITは、練馬区子ども家庭支援センターが支援を行ったケースのうち、東京都児童相談センターに一時保護を要請したケースを分析し、重篤化につながりやすい順に高いスコアを出すことで、早期に対応が必要なケースを見極める判断をサポートする。
また、東京都児童相談センターの協力を得ながら、練馬区の蓄積された知見にKIBITを活用することで、重篤化する可能性のあるケースを見逃すことなく、早期対応のための迅速な意思決定を支援することを目指す。
なお、実証実験は東京都児童相談センターの協力とリーガル面を含む監修やアドバイスをTMI総合法律事務所の白石和泰弁護士、同阿部洸三弁護士、同三輪幸寛弁護士から得ながら進めていく。FRONTEOでは今回の実証実験を契機に自治体との連携・支援を強化することで、行政との連携プロジェクトにおけるAIの利活用を推進していく考えだ。