TISは3月16日、次世代LPWA(Low Power Wide Area)技術であるZETAの日本総代理店であるテクサーと共同で、「富山市センサーネットワーク」を活用した「公共施設環境の見える化による快適な施設利用やエネルギー効率化」の実証実験を、2019年12月10日から2020年1月31日にかけて富山市科学博物館と富山市立図書館本館で実施したと発表した。
今回の実証実験では、施設管理の最適化と利用者の快適性向上の検証を目的に、IoT環境の構築におけるLPWAのZETAとLoRaWAN(低消費電力の広域ネットワークプロトコル)を利用した用途に応じた施設の最適化の検証及び、収集したデータを富山市センサーネットワークのIoTプラットフォームである「FIWARE(ファイウェア)」(FI(Future Internet)WARE、次世代インターネット基盤ソフトウェア)に集約し分析して可視化の2点を実施した。
なお富山市センサーネットワークは、ICTを利用して都市機能やサービスを効率化・高度化するスマートシティの実現に向けて、同市が構築した基盤。
実験では、施設に設置したLPWAのZETAとLoRaWANの通信環境で、IoTデバイスによる温湿度や照明などの環境データや利用状況、人流データを収集して、富山市センサーネットワークのFIWAREに集約したとのこと。
温湿度センサー・人感センサー・照度センサーを50個、博物館での人流調査にはビーコン25個を利用して1日100グループの来館者の協力を受け、可視化を実施したという。
科学博物館では2019年12月10日から12月28日にかけて、館内温度・湿度及び人の移動の可視化を実施。図書館本館では1月8日から1月31日にかけて、閲覧室利用状況、書庫の温度・湿度、開架図書エリアの利用状況それぞれの可視化を実施した。
実証実験により、複数種類のLPWAからのデータを可視化したことで、施設管理に利用できる多様な情報を入手できることがわかったという。
具体的な利用方法として、同社は以下の4点を挙げる。
・施設の温湿度データから、どの場所の空調管理が必要かわかり、施設の環境改善を図ること。
・施設の利用状況により、来館者が興味のある展示物や図書の種類を特定することで展示物などの充実を図ること。
・館内アナウンスによる来館者の移動情報を分析することで、アナウンスの有効性や効果的な情報がどういったものなのかの検討。
・閲覧室の利用状況から、利用者への有益な情報の提供。
同社は、センサーデータから収集した情報が多くの課題解決に利用できると考えており、今後は定常的、季節ごと、イベントごとなどの計測や、センサー以外の情報との組み合わせによる分析などを行い、富山市や他の自治体に提案を行っていくとしている。