東京農工大学は3月12日、新型コロナウイルス(COVID-19)の診断に必要となる鼻咽頭拭い液や喀痰といったサンプルからの核酸抽出からPCR検査による判定までの全自動化に成功したことを発表した。

同成果は、同大 農学部附属国際家畜感染症防疫研究教育センターの水谷哲也 教授および同大学院工学研究院生命機能科学部門の養王田正文 教授、千葉県衛生研究所らによるもの。

養王田教授らの研究グループは、すでにプレシジョン・システム・サイエンス(PSS)との共同研究成果である核酸抽出からリアルタイムPCRを全自動化した自動PCR検査システム「geneLEADシステム」が新型コロナウイルスの診断に利用できることを報告していたが、今回、千葉県衛生研究所と共同で実サンプルを用いた検証を実施。その結果、有効性を実証することに成功したという。

分析時間そのものは2時間10分と、分析時間の短縮は限定的だとしているが、全自動としたことで、複雑かつ高精度な作業が要求されるPCR検査にかかる作業負担を軽減できるようになるほか、ヒューマンエラーも低減できるため、解析結果の信頼性向上にもつながることが期待されるとしている。

また、同システムは病院などにも設置できる程度のサイズとのことで、医療現場にて感染が疑われる患者に対する迅速検査にもつなげられることが期待されるともしている。

なお、研究グループでは今後、東京農工大学、千葉県衛生研究所、PSSの3者にて、新型コロナウイルスの検査への活用を検討し、実際の検査現場での分析に活用できるよう、準備を進めていく予定だとしている。

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    自動PCR検査システム「geneLEADシステム」を中心としたアウトブレイク対策に向けた各企業・機関の連携イメージ (出所:東京農工大学Webサイト)