世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は日本時間12日未明、スイス・ジュネーブで記者会見し、新型コロナウイルス感染症は「パンデミック(世界的大流行)とみなせる」と表明した。WHOが世界的な感染拡大を認定したことにより、世界各国のさまざまな対応にも影響しそうだ。
テドロス事務局長によると、過去2週間で中国以外の感染症例数は13倍に増加。記者会見の時点で全世界の感染者数は114カ国で計11万8000人、死者は4291人に上っている。大規模な感染は中国だけでなく、イタリアや韓国、イランなど世界の広範囲に拡大した。
同事務局長は記者会見で「コロナウイルスにより引き起こされた最初のパンデミック」と表現して危機感を示した。また「今後数週間で感染者数や死者、感染報告国の数はさらに増える」と予測している。その一方で中国と韓国の感染報告が減少していることを例示して、他の国でのコロナウイルス封じ込め対策の徹底を呼び掛けた。このほか、経済・社会的な混乱を極力少なくする努力や人権尊重などの重要性も訴えている。
WHOは1月30日に国際保健規則に基づく最高レベルの警告である「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言していた。
「パンデミック」はギリシャ語で「全ての」を表す「パン」と「人々」を表す「デモス」が語源の英語。WHOの規定上ではインフルエンザに対してのみ使用されてきたが、テドロス事務局長は今回の新型コロナウイルス感染症の世界的拡大を重視して、自ら記者会見で事実上の「パンデミック宣言」をして事態の深刻さを世界に訴えた形だ。
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