十勝農業協同組合連合会(十勝農協連)と富士通は3月12日、4月から生産者がスマートフォンで撮影した甜菜(てんさい)の写真をもとにAIが病害虫を特定して、十勝農協連が病害虫および農薬の散布方法などの情報を生産者に提示する病害虫診断システムの構築に着手し、2021年度からシステムの運用を開始すると発表した。
システムでは、病害虫を判別するAI学習モデルを十勝農協連が収集した病害虫の画像データをもとに富士通が開発し、甜菜に発生する褐斑病(かっぱんびょう)およびヨトウムシの特定を実現する。システム構築に先立ち、農林水産業みらい基金(みらい基金)の助成を受けて、2019年に両者が実施した実証実験では病害虫を特定するAI学習モデルの平均適合率90%以上を達成したという。
十勝農協連はシステムを活用し、病害虫の発生場所や日時を十勝全域で把握することで、効果的な農薬散布を行うとともに、生産者に営農指導を行うことで生産者のコスト削減、作業負荷軽減、競争力強化を支援しり。富士通はシステムを通じて、持続可能な農業生産に貢献するサービスモデルを検討し、農業分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくという。
構築期間は4月1日から11月6日まで、運用開始は2021年4月を予定。両者の役割として十勝農協連が畑などで特定対象の病害虫である褐斑病やヨトウムシ、類似した病害虫である斑点細菌病やシロモンヤガ、シロシタヨトウなどの病害虫の写真を撮影し、画像データを収集。富士通は画像データを教師データとし、病害虫を判別するディープラーニングによる学習済みAIモデルの構築に加え、AIモデルのチューニングを行い、平均適合率の向上を行う。