東証の適時開示情報を基に経営権の異動を伴うM&A案件(グループ内再編を除く)について、ストライク(M&A Online)が集計したところ、2020年2月のIT・ソフトウエア業界のM&Aの発表件数は20件で、2月としては2009年の17件を上回り2008年以降の13年間で最多となった。
取引金額は約30億円で、2月としては2008年以降の13年間で下位から4番目だった。10億円を超える案件が1件だけだったのに加え、金額非公表が12件あったことから件数の割には金額が膨らまなかった。
金額トップはJMDCの約10億円
2月のM&Aで取引金額が最も多かったのはJMDCが2月28日に、医療機関・薬局・介護データベースの開発、販売を主力とするミーカンパニー(東京都新宿区)の全株式を約10億円で取得し子会社化することを決めた案件。
ミーカンパニーは医療機関、調剤薬局、介護事業所のオープンデータを統合した「SCUEL(スクエル)」を構築し、製薬会社や医療機器メーカーに提供している。JMDCは同社を傘下に取り込むことで、主要顧客である製薬会社向けのデータベースの品ぞろえを充実させる。
2番目はエムティーアイが2月21日に、法人向けにキャッシュレスサービス事業を手がけるクラウドキャスト(東京都千代田区)の29.2%を追加取得し、子会社化することを発表した案件。第三者割当増資を約7億円で引き受け、持ち株比率を52.01%に引き上げる。
クラウドキャストは経費精算クラウドサービス「Staple」や法人プリペイドカード「Stapleカード」などを提供している。
3位はEストアーが2月6日に、NFCホールディングス傘下でウェブ広告代理業のウェブクルーエージェンシー(東京都渋谷区)の全株式を約4億円で取得し子会社化することを発表した案件。
Eストアーは今回の買収に先がけて、今年1月29日にヤフー子会社でEC(電子商取引)サイト構築ソフト開発のコマースニジュウイチ(東京都港区)の全株式を約13億円で取得し傘下に収めている。
このほかに取引金額が1億円台、2億円台、3億円台がそれぞれ1件ずつあり、1億円未満が2件あった。
またゲンダイエージェンシーが2月14日に、デジタル広告の企画・制作のRita(東京都台東区)の全株式を取得し子会社化することを発表した案件は、2月17日にRita株主から撤回の申し出があり、破談となった。